2010 Fiscal Year Annual Research Report
17-19世紀の通信使・燕行使の交流と日中韓の知のネットワーク
Project/Area Number |
22720039
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
李 豪潤 立命館大学, 文学部, 助教 (50513165)
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Keywords | 思想史 / 対外関係史 / 朱子学 / 通信使 / 燕行使 / 朝貢冊封秩序 / 華夷思想 / 交流史 |
Research Abstract |
本年度は、研究代表者のこれまでの科学研究費補助金による研究を総括するために「『天学考』紹介」と「16世紀朝鮮知識人の『中国』認識-許〓の『朝天記』を中心に」の2本の論文を2010年10月、2011年3月に公刊した。また、研究代表者や研究協力者が定期的に意見交換を行なう東アジア思想文化研究会を合計19回開催し、研究代表者を含めた日本在住、および海外の研究者から以下の報告が行われ、東アジアにおける知のネットワークに関する多様な論点について理解が深められた。4月23日「慶基殿『太祖御真奉安』の歴史的考察」、5月14日「勧善倫理の構築と近世日本仏教-善書思想の位置づけを考える」、5月21日「イデオロギーと希望-天理教の三教会同」、6月4日「殉教したくないキリシタン-宣教師との意見の不一致」、6月11日「日本キリスト教の朝鮮伝道」、7月9日「韓国における最近の『実学』研究動向」、7月16日「歴史学の傲慢とフェティシズム-中村栄孝の『金忠善』研究をめぐって」、7月24日「宣長の老荘思想批判について」、11月5日「通翻訳の歴史的考察-朝鮮総督府の通訳管制をめぐって」、11月15「近世日本における『六諭』の運用」、11月19日「晩年親鸞の思想的特徴について-和讃を中心とする考察」、11月22日「崔南善における普通の欲望と破綻-『ミミクリ』と『マルドゥギ』」、11月29日「朝鮮後期における通信使行の三使選抜」、12月3日「西川如見における自他認識の一考察-17世紀在野知識人から見る『世界-日本』・『社会-町人』」、12月10日「19世紀後期日本知識人の中国観-岡鹿門の『観光紀遊』を中心に」、12月17日「李宗棠の初回対日教育視察をめぐって」、1月14日「明末清初の善書運動について」、1月21日「1632年における非人の国外追放について」、1月27日「日本における壬辰倭乱(文禄の役)」。また、5月19日には、立命館大学コリア研究センター月例研究会で報告し、近世東アジアにおける知のネットワークについて研鑽を深め、相互の議論を行った。さらに3月26日に開催された日本史研究会例会で、トランスナショナル・ヒストリーに関する報告を行った。これらと並行して、通信使・燕行使関係の史料の収集、及び最近の対外関係についての研究書等、史料・書籍の蒐集を行った。また、これまでに蒐集された史料、研究書の整理と分析を進め、それをほぼ完了した。今後は、16世紀日中韓の思想空間と日本朱子学の黎明の研究が課題となるだろう。
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