2012 Fiscal Year Annual Research Report
彫刻文化財の修理における三次元デジタルデータの実践的な利活用とその効果の研究
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22720055
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
山田 修 東京芸術大学, 美術研究科, 非常勤講師 (30571723)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 文化財 / 彫刻 / 保存修復 / 3D / デジタルアーカイブ / コンテンツ・アーカイブ / 情報工学 / 芸術諸学 |
Research Abstract |
平成24年度では過去2年間の研究成果を基に、3Dデータを実践的に彫刻文化財の修理に活用し、その結果を多視点から評価することで、実践的に応用する手法の確立を行った。その詳細は以下の通りである。 ・修理方針の策定:修理による部位の角度の調整や配置後の姿のシミュレーションを行うことで修理方針を策定するための検討資料の制作手法を確立した。 ・積算:修理で必要な材の積算においては目視や実測では見誤るような積算も、3Dデータから正確に無駄なく行う手法を確立した。 ・補作:3D加工機を使用することで欠損部分といった複雑な損傷面に対しても正確に合致する補作材を制作する手法を確立した。 またこれらの手法によって、作業効率を改善し、低コスト化、質の向上を目指し、より多くの彫刻文化財の修理を可能にし、さらなる実用化への兆しが見込まれるが、単純に定量化できず評価が困難な課題も生じた。それは修理作業においてデジタル技術や機械に可能な限り頼ったとしても修理方針や手法、最終的な調整のためには一定の技能を有する技術者が必須であり、完全にそれらに頼り切ることはできないということである。つまりデジタルによる効率性を追い求める一方で、訓練による技能の育成は必須であるといえる。また同時に彫刻文化財や修理内容を理解したデジタルにおける技術者の育成も求められる。 総括としては現段階において、対応可能な設備、操作等の人員の問題はあるが、特定の条件下においてはより理想に近付く作業を短時間、低コストで行うことは可能になった。しかし彫刻文化財の修理作業においては、人材育成、伝承性といった観点からどこまで3Dデータを活用してよいか、換言すれば伝統に対する新技術の受容性についての議論は引き続き行い、その両者の時代に応じた接点を文化財修理の理念、倫理観に則り、見つけていかなければならないであろう。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)