2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720079
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
土佐 朋子 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (00390427)
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Keywords | 『懐風藻箋註』翻刻 / 『懐風藻箋註』引用典籍 / 『懐風藻』伝本 / 『懐風藻』写本 / 今井舎人 / 榊原忠次 / 『懐風藻』本文 / 『懐風藻』版本 |
Research Abstract |
今年度の主な研究成果は、次の3点である。 (1)『懐風藻箋註』翻刻およびその引用典籍一覧の発表。 (2)官内庁書陵部、前田尊敬閣文庫、早稲田大学付属図書館、天理大学付属天理図書館、京都大学付属図書館および文学研究科図書館、大阪大学付属図書館懐徳堂文庫、三重県立図書館米山文庫、名古屋市立鶴舞中央図書館河村文庫、国立国会図書館、静嘉堂文庫、実践女子大学付属図書館山岸文庫に調査に出向き、各機関に所蔵されている『懐風藻』伝本(合計9本の写本と29本の版本)について実見の上で書誌データをまとめ、複写資料を入手したこと。 (3)入手した複写資料をもとにして校本作成の作業を進められたこと。 具体的には次の通りである。 (1)については、昨年度より進めてきた翻刻作業の成果を『水門 言葉と歴史』23号に掲載し、またその注釈に引用されている典籍一覧を作成して『古代研究』45号に掲載することができた。 (2)については、この調査を通して、これまで紹介されていなかった『懐風藻』写本(天理大学付属天理図書館所蔵広橋蔵書印記本、京都大学文学研究科所蔵榊原忠次印記本)を発見できたことが最も大きな意義の一つである。また、実見できていないが、中華人民共和国遼寧省図書館にも写本があることを知り、画像を取り寄せることができた。これら新たに発見できた写本も含めて、各地に所蔵される『懐風藻』伝本の本文を入手し、その性格などを考察できたことが成果である。 (3)校本作業は、(2)で入手した写本を中心として着実に進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、『懐風藻箋註』の翻刻および引用典籍一覧を雑誌に発表し、また関東近辺から近畿にいたる所蔵機関に調査に出向き、『懐風藻』写本版本を実見できている。また、その複写資料をもとにして、校本作成のための切り貼り作業も同時に進めており、研究はほぼ計画通りに進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もさらに全国の所蔵機関に調査に出向き、『懐風藻』写本版本の実見と本文収集を継続する。それと同時に、複写を入手した伝本に関しては、校本作成のための作業を進める。また、『懐風藻箋註』翻刻とその考証について、研究書として発行できるよう細部の調査を継続し、精度を高めていく。
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Research Products
(4 results)