2012 Fiscal Year Annual Research Report
書跡資料の調査分析を中心とした付合文芸の諸相に関する研究
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22720085
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
尾崎 千佳 山口大学, 人文学部, 准教授 (50335759)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国文学 / 文献学 / 連歌 / 俳諧 / 西山宗因 |
Research Abstract |
平成24年度は、主として、平成23年度までに収集した西山宗因自筆の短冊・色紙・懐紙を網羅した西山宗因真蹟資料データベースの構築にあたった。データベースにもとづき最も特色ある宗因真蹟16点を精選し、八木書店刊『西山宗因全集 第5巻 伝記・研究篇』(平成25年4月25日発行)の口絵に「宗因書影」として掲げた。また、詠作年代・詠作の場等の分析結果をもりこみつつ、同全集同巻に「西山宗因年譜」の掲載を果たした。本年譜は、平成11年5月に発表した旧稿「西山宗因年譜稿」(『ビブリア』第111号)にもとづきつつ大幅に資料を増補し改訂を加えた西山宗因年譜のいわば決定版で、学界への貢献が期待される。 いっぽう、これまでに収集した宗因評点資料のうち俳諧評点57点を対象として分析をすすめ、宗因評点・評語の変遷について考察した。その結果、宗因の加点姿勢は終始一貫するものの、その加判内容は寛文期に啓蒙的な姿勢に変質することが確認された。これは先行研究において指摘された事実をなぞる結果であるが、その原因についてはいまだ明確な説は行われていない。宗因の加判姿勢の変化の因として大坂天満宮連歌所の宗匠隠退を想定し、宗因の評点資料を一種の経済活動としてとらえなおすことを考えている。宗因評点についてはさらに考察を深め、平成25年度中にその成果を公表したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未精選ながら宗因真蹟資料データベースの構築にいちおうの目途がつき、その成果の一部が『西山宗因全集 第5巻 伝記・研究篇』として刊行されることになった。最終年度の次年度は、研究の総括と成果の公表をさらに推進したい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に引き続き、調査の過程で従来知られていなかった新出資料の存在が複数確認され、その整理や分析に追われがちであるが、本研究課題では短冊・色紙・懐紙のデータベース完成を目指すこととし、評点・書簡資料については現時点での問題点を論じる方向にシフトしたい。
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Research Products
(2 results)