2011 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀フランスにおける「エネルギー」と近代の成立
Project/Area Number |
22720136
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
玉田 敦子 中部大学, 人文学部, 講師 (00434580)
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Keywords | 18世紀 / フランス:イギリス / エネルギー / 啓蒙 / 修辞学 / 文体論 / 科学史 / アダム・スミス |
Research Abstract |
18世紀の文体論における「エネルギー」という語の普及と流行は、当時の科学技術の発展に裏付けられており、また美学の発展にも大きな貢献を果たしたと考えられる。本研究は、近代修辞学に関する「エネルギー」論という、これまでの自身の研究を科学史や美学といった領域に拡大することによって、あらたに深化させることを目的としている。 【国際18世紀学会での発表】本年度の前半は、まず、7月の国際18世紀学会における研究発表の準備を重点的に行った。特に、前年度の「公共知」国際ワークショップでの発表と討議に立脚しつつ、アダム・スミスの『修辞学講義』を中心としたスコットランド啓蒙における修辞学理論書の分析を進め、議論の精緻化をはかった。 【中部高等学術研究所共同研究】本年度は、また、所属する中部高等学術研究所にて「自然・文明・科学技術」をテーマにした共同研究を主宰し、5回の研究会を開催、うち2回の研究発表を行った。自身の研究発表においては「エネルギー」概念の変遷の分析をとおして、18世紀フランス啓蒙における「エネルギー」の重要性について確認した。この研究会の成果については、来年度中に著書の形で出版する。 【夏期休暇における海外資料調査および、その後の研究状況】8月には1カ月間、フランス国立図書館(パリ)にて資料調査を行った。ここでは、18世紀フランス、イギリスで出版された辞書・辞典類、特に、デフォンテーヌ師の『新語辞典』など、電子化されていない辞書について集中的に書写作業とマイクロフィルムの収集を行った。9月には10日間、ブリティッシュ・ライブラリー(ロンドン)において、18世紀イギリスの修辞学理論書を網羅的に調査し、複写文献を購入した。 なお、上記の調査・研究については、9月に「18世紀フランス修辞学と近代の成立」をテーマに招待講演を行い、現在、著書にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、夏期休業中に40日間を超える資料調査をパリ・ロンドンで行い、本研究において必要な資料をほぼ収集することができた。また、国際18世紀学会における発表についても大きな反響があり、フランスだけでなく、韓国をはじめ、イギリスやロシアなど、他の国の研究者との交流も深めることができた。国内では、招待講演を行い、学会活動にも積極的に参加することにより、本研究の成果を書籍にまとめる準備がととのったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は本研究の最終年度であり、研究成果のまとめに全力を注ぎたい。授業期間中には、足りない資料を慶應義塾大学図書館などで収集するとともに、共著、単著でそれぞれ出版する2冊の書籍の執筆を進めていく。また、夏期休業中には、再度ヨーロッパに40日間滞在し、フランス国立図書館、ブリティッシュ・ライブラリーにおいて、これまで調査した資料の確認の作業をおこないたい。春期休暇中は、完成原稿における引用文献の再確認にあて、研究の精度を高めることを目指している。
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Research Products
(4 results)