2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720193
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
石崎 保明 名古屋産業大学, 環境情報ビジネス学部, 准教授 (30367859)
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Keywords | 句動詞 / 用法基盤モデル / 英語史 / 文法化 / イディオム化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで扱われることの少なかった特に近代英語期以降における句動詞の使用の実態に焦点を当て、その文献学的・時代的背景を考慮しながら詳細に調査し、それらを認知言語学において標準的に採用されている用法基盤モデルの観点から説明することにより、歴史言語学における言語変化理論に対して貢献を図ることである。 申請者は、これまで行ってきた副詞研究の中で、同じく方向を表す英語固有の副詞であっても、例えばforthのように文法化したとはいえない事例や、awayやoutのように文法化したと考えられるもがあることを明らかにした。さらに後者についていえば、その文法化の進行の度合いに程度差が観察されることも明らかにした。 本研究の初年度となる今年度は、電子コーパス等に収められている口語体で書かれた初期および後期近代英語を中心に調査を進め、句動詞には動詞と副詞が合成的に結合したものに加えて、その構成素の総和から意味の推定が困難な高いイディオム的意味を表すものと、動詞と相的不変化詞が合成的に共起したものがあり、後2者は独立して発達してきたこと、および、両者の発達は、用法基盤モデルの観点から説明可能であることを示した、その内容は、3年に一度開催される後期近代英語期を専門領域とする学者による国際会議(4th International Conference on Late Modern English、於英国シェフィールド大学)で口頭発表した。また、中日新聞社発行の『環境・情報・ビジネスを考える』(名古屋産業大学環境情報ビジネス学会(編))第5章において、用法基盤モデルにおける言語の通時的変化の仕組みをわかりやすく解説した。 さらに、用法基盤モデルに基づくoutを含む句動詞の歴史的発達については、来年度(23年4月)に開催される第50回名古屋大学英文学会シンポジウム(「題目:文法化の要因を探る」)の講師の一人として、「言語使用と文法化:用法基盤モデルの観点から」という題目で研究発表をする予定である。
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Research Products
(2 results)