2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720259
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Research Institution | Yamanashi Prefectural Museum |
Principal Investigator |
西川 広平 山梨県立博物館, 学芸員 (60574150)
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Keywords | 地方史 / 環境史 |
Research Abstract |
本研究は、甲府盆地周辺地域を対象に、治水・利水技術の有様や開発にともなう自然環境の変化などを考察し、技術の変遷や伝播の状況、及び当時の開発のあり方や人々の自然観などを明らかにすることを目的とする。2011年度はその2年目にあたり、関係資料の所在確認や調査、及び資料データの整理を行った。 まず、山梨県内外に残されている治水関係史料の確認・調査として、17世紀後半に築造された徳島堰(山梨県韮崎市・南アルプス市)に関する資料を含む矢崎家文書(南アルプス市個人所蔵)を調査した。また、18世紀半ばに江戸幕府から指示され甲斐国で治水工事を担当した岡藩(大分県竹田市)藩主中川家に関係する資料(竹田市立歴史資料館保管)を調査した。さらに、19世紀前半に甲斐国で用いられた治水技術と同様の事例が確認される天竜川・大井川(静岡県)流域の治水関係資料(静岡県立中央図書館歴史文化情報センターに画像保管)を確認した。 以上の調査などをふまえて、江戸時代に甲斐国で行われた治水工事の対応や他地域への治水技術の広がりなどについて研究し、新たな考察を行った。 続いて、景観の変化を分析するために、2010年度に引き続いて、17世紀初頭から後期にかけて作成された検地帳の内容をデータ化する作業を行った。調査対象地域に所在する村落の一部について、検地帳のマイクロフィルム撮影写真を画像データ化するとともに、記載内容を表に整理してパソコン入力した。 これらの作業で得たデータと、空中写真や遺跡分布さらに古文書の内容とを比較することにより、甲府盆地を流れる河川の流路や土地利用の変遷が解明されると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は東日本大震災の影響があり、予定していた調査の時期が遅れる場合もあったが、当初計画していた調査を年度内に実施でき、資料データの蓄積が順調に進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、引き続き山梨県内外に伝来する治水関係資料の調査を行うとともに、検地帳記載データを整理する。また、これまでに得た調査データの分析や考察を進め、平成25年度に予定している報告書の刊行に向けた準備を行う。
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