2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720259
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Research Institution | Yamanashi Prefectural Museum |
Principal Investigator |
西川 広平 山梨県立博物館, その他部局等, その他 (60574150)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地方史 / 環境史 |
Research Abstract |
本研究は、甲府盆地周辺地域を対象に、治水・利水技術の状況や開発にともなう自然環境の変化などを考察し、技術の変遷や広がり、及び当時の開発のあり方や人々の自然観などを明らかにすることを目的とする。2012年度はその3年目にあたり、関係資料の調査、及びデータの整理を行った。まず、山梨県内における治水関係資料を対象に、以下の調査を行った。 ①矢崎真里家文書(南アルプス市個人所蔵)…17世紀半ばにおける御勅使川(南アルプス市)流域の堤防工事に関する古文書を調査、②一宮浅間宮帳(市川三郷町一宮浅間神社所蔵)…18世紀半ばの鳥取藩・岡藩(大分県)による甲斐国御手伝普請に関する記録を調査 ③甲斐国検地帳(山梨県立博物館所蔵)…17世紀初頭~後半における土地利用の変化を分析 また、治水・利水技術の比較分析などのため、山梨県外における以下の治水関係資料を調査した。 ①和歌山県立博物館収蔵の治水・利水関係資料、及び文覚井(和歌山県かつらぎ町、中世の用水路遺構)の現地巡検、②鳥取藩家老日記・江戸留守居日記(鳥取県立博物館所蔵)…甲斐国御手伝普請の記録を調査、③関根家文書・平家文書(八王子市郷土資料館収蔵)…多摩川流域の治水関係資料を調査、④永田家文書(茨城県常陸太田市個人所蔵)…甲斐国出身の鉱山技術者が17世紀半ばに築造した辰ノ口江堰(常陸大宮市・常陸太田市)に関する古文書を調査 以上の調査などをふまえて、甲斐国で行われた治水工事の対応や他地域への治水技術の広がり、及び河川流路や土地利用の変遷が解明されると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、翌平成25年度における調査の総括、報告書作成に向けて、資料調査を積極的に行った。また、山梨県立博物館企画展「水の国やまなし」と連動して、考察を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、山梨県内外に伝来する治水・利水関係資料の補足調査を行うとともに、検地帳記載データを整理して分析する。そして、この内容を反映した報告書を刊行し、これまでの研究の総括を行う。
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Research Products
(4 results)