2012 Fiscal Year Annual Research Report
アルメニアの完新世初頭における先史文化の考古学研究
Project/Area Number |
22720301
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
有村 誠 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 准教授 (90450212)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | コーカサス / アルメニア / グルジア / 新石器化 / 先史時代 |
Research Abstract |
本年度は、アルメニアとグルジアにおいて先史時代遺跡の発掘調査を実施した。 アルメニアでは、昨年度に引き続き、アルメニア東部イジェヴァン近郊のゲタホビット洞窟において発掘調査を行った。昨年度の試掘調査では、後期銅石器時代(紀元前4300年頃)の居住層が確認された。本年度は、この居住層の洞窟内での広がりを確認することを試みた。地表から深さ1mまでは中世の層が堆積しており、遺構として炉址、ピット、そして石組み墓が発見された。墓や出土遺物の型式からこれらの遺構は11-12世紀のものと考えられる。中世の層の直下から、後期銅石器時代層が確認された。この層からは、大量の動物骨や炭化物・灰が発見された。現在のところ明確な遺構は確認されていない。動物骨の大半は、比熱のために表面が白色化し、破片となっていた。動物骨以外の遺物は極めて少なく、黒曜石やフリント製の石器が百数十点出土しただけであった。石器は、製品の製作途中の石屑がほとんどであり、二次加工石器が非常に少ない。 グルジア南部のパラヴァニ湖周辺は、これまでの踏査で、数多くの先史時代遺跡が確認されてきた地域である。本年度から新たにパラヴァニ湖東岸に位置するパラヴァニ岩陰遺跡で発掘調査を開始した。調査によって、動物骨や黒曜石製石器が大量に出土した。石器は石刃製作が中心であり、若干の幾何学型細石器を含んでいた。幾何学型細石器の存在から、同遺跡は完新世初頭に位置づけられると思われるが、より正確な年代については、分析中の放射性炭素年代測定の結果を待ちたい。 本年度の発掘調査によってアルメニア、グルジア両国において完新世初頭から中頃の遺跡を確認することができた。これらは狩猟採集民や牧畜民が残した遺跡と考えられ、南コーカサスの多くの地域では、新石器化(農耕牧畜の開始)以降においても、中石器文化的な集団が存在していたことを示している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)