2010 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化に伴う農業部門における「知的財産権」強化とネットワーク型農業の可能性
Project/Area Number |
22720312
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
林 琢也 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (50572137)
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Keywords | グローバル化 / 知的財産権 / 生産者ネットワーク / 果樹生産 / ピンクレディー |
Research Abstract |
今年度は、よりグローバルな視野から農業分野における「知的財産権」強化の方法を探るべく、本研究で対象としているリンゴ品種クリプスピンク(商標名ピンクレディー)の各国生産者団体を束ねる「国際ピンクレディー連盟(IPLA)」総会への出席(参与観察)および連盟関係者への聞き取り調査を実施した。この調査を通じて、これまでの日本国内(主に長野県内)の生産者へのインタビューだけでは具体的に把握が困難であった世界規模のピンクレディー生産の現状及び流通・マーケティング戦略等について理解を深めることができた。また、それとともに研究に活用するための関連資料も入手できた。「知的財産権」という視点を活かし、国際市場における農産物の品種や栽培の管理、権利の保持、流通上の優位性を担保することがいかにして可能になるのか、またIPLAの取り組みにおける課題等についても考察することで今後の日本農業の政策や戦略に対しても重要な示唆を与えることが可能になるといえる。市町村や都道府県といった範囲を越えた中での生産者の連携(ネットワーク化)の事例はこれまでも数多くみられたが、国を越えたスケールで連携し、交流を図る農業組織のあり方は、産地振興とはまた異なる軸を農業政策に与えるものといえ、非常に興味深い取り組みであるといえる。 研究成果(論文4本)のうち,1本は査読誌『地理空間』への掲載であり、残りの3本は日本園芸農業協同組合連合会(日園連)の発行する月刊誌『果実日本』編集担当者からの依頼原稿である。原稿の依頼は、本研究の成果および意義蒼社会的に認められたことの一つの証左であると考えている。また、昨年までの研究成果を分担執筆の書籍として刊行した。
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