2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化に伴う農業部門における「知的財産権」強化とネットワーク型農業の可能性
Project/Area Number |
22720312
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
林 琢也 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (50572137)
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Keywords | グローバル化 / 知的財産権 / 生産者ネットワーク / 果樹生産 / ピンクレディー[○!R] |
Research Abstract |
本研究の目的は、グローバル経済下での農業部門における知的財産権の重要性とそれを活かした生産・販売戦略に果たす生産者ネットワークの役割について明らかにすることである。具体的には、世界的に生産が進められているリンゴ(品種名:クリプッスピンク/商標名:ピンクレディー[○!R])の栽培および販売権を有するオーストラリアリンゴ・洋ナシ生産者協会(APAL)および各国の生産者協会を統括する国際ピンクレディー連盟(IPLA),日本国内を取りまとめる日本ピンクレディー協会の事例を取り上げ、検討した。 今年度は大きく以下の3点から研究を行った。(1)食料・農業部門における知的財産権(育成者権・商標権)に関する文献研究、(2)IPLAおよびAPAL、日本ピンクレディー協会における各生産者および組織間のネットワーク構造に関する調査、(3)研究成果の公表。(1)については、英文を中心とした国際誌や海外のクラブ制を採用する組織・団体のアニュアルレポートの分析を行った。(2)については、申請時の研究実施計画では海外調査を含めたものとなっていたが、昨年度の国際ピンクレディー連盟総会の日本開催を受け、その際にAPALの幹部や農園主へのヒアリングと情報収集が円滑に進んだため、当初の予定を修正し、文献研究と日本でのピンクレディー協会事務局および関係者への聞き取りを中心に調査を実施した。なお、(3)に関しては、昨年までの成果を整理・考察するため、2度の学会発表を行った。本科研の2年間の成果全体をまとめた論文の執筆・刊行を進めていくことが今後の課題である。関係者への聞き取りおよび文献研究から、知的財産権の侵害に対する生産者組織の対応の実態や知的財産権の侵害に対して意識の低い途上国の生産者や流通業者をどのように共通のルールの下に取り込んでいくのかなど実践的な対応策についても把握することができた。この点は当該分野における日本農業の将来を展望するための貴重な研究の機会となった。
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