2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本型多文化共生社会の構築と展望に関する実証的・理論的研究
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22720318
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 亮吾 名古屋大学, 環境学研究科, 研究員 (10509144)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 移民エスニック集団 / 地域コミュニティ / エスニシティ / オーストラリア / 多文化主義 / フィリピン系移民 |
Research Abstract |
本申請研究の目的は、2000 年以降の①日本の公的機関で実践される多文化共生政策の特徴とその変容、②移民エスニック集団の組織化と発展過程、③多文化共生社会の実現に果たすローカルな地域コミュニティの役割について包括的に調査した上で、それらの相互関係を理論的・実証的に明らかにすることを通じ、来るべき「日本型」多文化共生社会の在り方を展望することである。 3年目にあたる本年度は、オーストラリア型多文化主義政策の変容とシドニー大都市圏における移民エスニック空間の形成、ならびにフィリピン系移民エスニック集団の組織化プロセスについて、半年間にわたってフィールド調査を行った。本研究の申請当時には予定されていなかった計画ではあるが、日本型多文化共生のあり方を相対化するための優れた比較研究材料として、多文化主義先進国家における研究の機会を得ることができた。その成果の一部は、トランスナショナル研究会3月部会(名古屋市立大学)や2013年度日本地理学会春季学術大会(立正大学熊谷キャンパス)において発表した。 最終年度にあたる次年度には、これまでに行った理論的・実証的研究をまとめる形で日本型多文化共生のあり方を考察したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は4年間の研究計画のうちの3年目であった。事例対象地域における日本型多文化共生の現場に携わる人々(移民団体、日本人地域住民、地元行政)への聞き取り調査は、2年目までにおおむね完了している。3年目の本年度は、日本型多文化共生との比較研究を可能にする多文化主義国家オーストラリアでの研究機会に恵まれ、その点では当初の予想以上の研究成果を挙げることができた。また、研究成果や調査のアウトプット(著書の出版、学会・研究会発表等)には尽力しており、全体を俯瞰すれば研究はおおむね順調に進展していると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大幅な修正は予定していない。最終年度では、これまでに未着手となってきた行政に対する調査を実施し、ローカルな地域社会の多文化共生の現場に携わる人々への補完的な聞き取り調査も実施する。また、これまでに行った理論的・実証的研究をまとめる形で日本型多文化共生のあり方を考察したい。
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Research Products
(2 results)