2012 Fiscal Year Annual Research Report
メキシコの社会空間と宗教実践をめぐる民衆文化的戦術:サンタ・ムエルテを事例として
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22720334
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
井上 大介 創価大学, 文学部, 准教授 (20511299)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | サンタ・ムエルテ / 死 / 聖人信仰 / 呪術 / 民衆文化 / 社会空間 / 戦略・戦術 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
ローカルな次元で立ち現れる民衆宗教、サンタ・ムエルテ信仰が、メキシコにおいて、グローバル、ナショナルな次元とどのように結びつき発展しているのかという点についてフィールドワークをもとに考察した。 その際、グローバリゼーションを「近代以降顕著となり、90年代以降より急激に進行してきた国境を超える人、もの、情報の交流によって推進される個別性の普遍主義化と普遍性の個別主義化がグローバル、リージョナル、ナショナル、ローカルな諸次元で顕在化する現象」と定義し、国家-脱国家、グローバル-ローカルといった二元論的枠組みを中心としたグローバリゼーション論からのの脱却を試みた。 結果として、信者には信仰対象であるサンタ・ムエルテをグローバルな言説、ナショナルな言説、ローカルな言説で表象するという傾向があること把握し、それらが各信者の信仰年数とある程度の相関関係を有している点を確信した。グローバルな言説では、神の普遍性、「死」の普遍性をベースとした信仰である、といった主張が中心であり、ローカルな言説としては、現在のサンタ・ムエルテ進行発展の原動力となったテピート地区の貧困や犯罪というイメージと連動させた信仰解釈が中心であった。他方、ナショナルな言説では、メキシコ文化やアステカ文明、具体的には、近年、世界無形文化遺産としてユネスコに登録された「死者の日」やアステカの「死の神」との関係を示唆する主張が確認できた。カトリックとの関係については、ローカルな主張においてそれらの関係が否定されていたのに対し、ナショナルな言説においては肯定的に、グローバルな言説では、結びつきに関する主張に多様性が存在していた。信仰年数に関しては、信仰歴の長い信者ほどよりローカルな観点で同信仰を解釈しているケースが多く確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)