2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730008
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
苑田 亜矢 熊本大学, 法学部, 准教授 (80325539)
|
Keywords | 基礎法学 / 西洋法制史 / コモン・ロー / カノン法 / 陪審 |
Research Abstract |
本研究の目的は、コモン・ローの刑事訴訟手続の中心的特徴である陪審の一類型で、刑事事件につき正式起訴の決定にあたる大陪審の起源である起訴陪審が、12世紀のイングランドで成立した要因を、当時の教会法および教会裁判手続との関係から解明することにある。本年度に実施した研究の成果は、以下の通りである。 起訴陪審が成立した当時の教会法および教会裁判手続を明らかにするために必要となる12世紀の教会裁判関係史料と教会法学文献について、第一に、教会裁判関係史料については、12世紀の段階では未だ教会裁判所で訴訟記録が保管されるシステムになっていないことから、修道院等の年代記やカーチュラリーの中に散らばった判決確認文書や書翰(裁判助言書等)の調査・収集に着手し、一部整理することができた。第二に、教会法学文献については、その写本の一部を、ロンドンの英国図書館、ダラム聖堂図書館、ケンブリッジ大学の各カレッジ図書館、オクスフォード大学ボドリアン図書館などで閲覧・調査することができた。第三に、教会法学文献の中でも、訴訟手続を述べたordo judiciorumと呼ばれる作品群については、それらを解説・研究した論文や著書を国内外の図書館等において収集・調査し、起訴陪審成立当時に作成された各ordo judiciorumの写本の所在と内容的特徴等の概要を把握することができた。
|