2010 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ裁判官公選制における制度改革の試み―司法府の独立性・中立性と市民の信頼
Project/Area Number |
22730010
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原口 佳誠 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (40551594)
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Keywords | 比較法 / 英米法 / アメリカ法 / 憲法 / 州憲法 / 司法制度 / 裁判官論 / デュー・プロセス |
Research Abstract |
本研究は、現代のアメリカ諸州の裁判官公選制の制度改革について実証的分析を行い、司法府の独立性・中立性と市民の信頼の関係を究明することを目的とする。 今年度は、まず裁判官公選制と裁判のデュー・プロセスに関する合衆国最高裁の重要判決であるCaperton v.A.T.Massey Coal Co., 129 S.Ct. 2252 (2009)を精査した。同判決について、2010年11月のアメリカ法制史学会でJed H.Shugerman教授(Harvard大)らと議論し、翌年2月には、Brennan Center for Justice (New York大)で資料収集を行い、Adam Skaggs研究員と討論を行った。併せて、裁判官公選制研究の第一人者であるRoy A.Schotland名誉教授(Georgetown大)と面談し、同判例の射程と影響を考察するとともに、州裁判官公選制をめぐる最新の法的・社会的問題をフォロー・アップした。これらの研究成果として、判例研究を大学紀要に公表し、さらに裁判官公選制に係る合衆国最高裁の法形成と制度改革への影響について研究会発表を行った。同内容の論文公表を翌年度に予定している。 また3月には、カンザス州のWashburn大学のAlex Glashausser教授の支援を受け、同州控訴裁判所裁判官任命制度改革の動向について実地調査を行った。同裁判所Richard Greene長官・Steve Leben裁判官、Jim Concannon教授(Washburn大)、Steve Ware教授(Kansas州立大)ら裁判官・研究者の双方から直接に幅広い知見を得ることで、メリット・プランへのバックラッシュの潮流を確認し、その背景にある裁判官任命における民主性と専門性のバランスを考究した。当該研究成果の論文公表の準備も進行中である。
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Research Products
(2 results)