2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730015
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
平川 英子 富山大学, 経済学部, 准教授 (90510371)
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Keywords | 相続税 / フランス租税法 / 政策税制 |
Research Abstract |
本研究は、政策税制が本則課税との間で不公平を生じさせることを前提として、そうした不公平はどのような条件のもとに許容されるかについて研究することを目的とするものである。 本研究では、中小企業の世代交代に伴う事業承継を円滑に進めることを政策目的とする事業承継税制を素材として研究を行った。事業承継税制は、中小企業の事業承継を促進するため、事業用資産にかかる相続税の負担軽減を図る制度である。相続税をめぐる諸外国の議論状況をみると、相続税廃止の方向性が確認される。しかし、日本ではむしろ相続税を強化する方向に進んでおり、このことは事業承継税制の適用をうける者とそうでない者との間に取扱いの不公平をもたらす。こうした取扱いの不公平がいかなる条件のもとに許容されるかは重要な論点である。本研究では、こうした政策税制が正当化されるのは、その政策目的が妥当なものであり、かつ当該目的のために用いられた手段としての税制が効果的である場合にのみ正当化されるとの仮定し、政策税制の効果に対する評価がどのように行われているか、比較法的観点も交えて分析を行うこととした。また日本においては、政策税制の効果検証という点につき、政権交代後の税制改革において「納得」の税制の一環として「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、有効性等の観点から政策税制の見直しが行われようとしていることが注目される。今後の課題として、このような有効性分析において政策税制の法的限界がどの辺りにあるのか、有効性の観点が租税立法に対する司法審査に与える影響を検討する必要がある。
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