2010 Fiscal Year Annual Research Report
地理的表示等の生産者の集団的品質管理制度と、競争政策
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22730045
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
荒木 雅也 茨城大学, 人文学部, 准教授 (90451666)
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Keywords | 地理的表示 / 明細書 / 独占禁止法 / EU |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の2つである。(1)EUの地理的表示制度について、制度の詳細を明らかにすること。(2)加えて、EUにおける地理的表示制度の独占禁止法上の問題点について研究し、複数の生産者による食品の品質管理が、独占禁止法上どのように評価されるべきかについて一考すること。 平成22年度は(1)の研究を行った。特に重視した問題点は、1)地理的表示の登録要件についての判断基準、2)地理的表示の保護範囲である。1)については、主要登録要件である「品質・特性・社会的評価」のうち「社会的評価」と、「地理的区域」という要件を重点適な考察対象とした。社会的評価に関してはその意味内容について検討し、且つ、この要件が独立の要件であり、その存在が肯定されれば地理的表示登録が可能であることを確認した。2)については、地理的表示の保護は基本的には類似商品間における使用に限定され、よって「不当使用・模倣・喚起」も類似商品間において成立するが、社会的評価の収奪となる場合にはその限りではないことを詳述した。 EU地理的表示の全体像については現時点で相当の研究の蓄積があるが、1)2)については先行研究が少なく、また、とりわけ1)の問題は地理的表示制度の制度趣旨である「テロワール」という理念が制度に十分に反映されているか否かを評価する上でも決定的に重要であるため、現在、地理的表示制度の本格導入について検討することを決定している我が国にとって、必要性が高い研究であると考える。 なお、以上の研究成果は近日中に専門誌にて公表する予定である。
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