2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730059
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澁谷 洋平 熊本大学, 法学部, 准教授 (20380991)
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Keywords | 刑事法学 / 共謀罪 / イギリス法 |
Research Abstract |
本研究は、2000年以降、我が国でもきわめて重大な議論を喚起した「共謀罪」の原型である「イギリス法におけるコンスピラシー概念の動向」について、2007年から2009年にかけて法律委員会(Law Commission)によって実施された共謀罪(1977年刑事法(Criminal Act 1977)の検討作業から最終提案に至る議論の過程を調査・研究することによって、常に変容し続けるイギリスの共謀罪の解明を目指した。 中間報告である『諮問書183号』(Consultation Paper No 183)については、合意(agreement)の対象が行為の開始および結果の惹起にあること、共謀関与者が行為を開始し、結果を惹起する「意図」を有しているべきこと、共謀罪の最低限の主観的要件を無謀とすることなどの「実体法的側面」、共謀の人的範囲に基づく免責を廃止すること、合意形成の場所に関わらず、共謀者の認識を前提として、イギリスの管轄を認めるべきことなどの「手続法的側面」の2点に関する暫定的提案に至る議論状況を整理・確認した。最終報告である『報告書318号』(Law Commission No 318)については、中間報告における「実体法」と「手続法」の2点に暫定的提案に対する反応、これを受けての法律委員会の最終提案に至る検討状況を整理・確認した。 当初の計画の一部であった「法執行の状況」には進展できなかったが、以上の研究を通じて、近時の多数の刑事立法とその内容の多様さを受けつつ変容するイギリスの共謀罪の現状と課題の一部が明らかとなった。
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