2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22730094
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原田 綾子 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (00547630)
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Keywords | 里親 / 児童福祉法 / 民法 |
Research Abstract |
本年度の目標は、里親が担う制度的な役割について、日米を対比しつつ明らかにすることであった。アメリカの里親制度に関する文献は、主として、早稲田大学図書館の文献ダウンロードシステムを通じて収集した。アメリカで出版された最新の書籍は、Amazonや輸入書店などを通じて購入した。また本年度は、里親にかかわる実務家や里親支援団体への聞き取りなどを目的としてアメリカでの現地調査を予定していたが、23年7月ごろに妊娠が判明したため、身体の安静を優先してアメリカでの調査を取りやめることとした。その代りに、主としてインターネット情報によって、アメリカの里親制度の最新動向の把握に努めた。アメリカは、児童福祉の領域においてもインターネットによる情報公開が進んでいるため、里親制度に関する情報も、インターネットにより、かなりの程度収集することができた。他方、日本の里親制度については、里親会の代表者や里親、児童相談所の里親担当職員にインタビュー調査を行い、関係者が里親の役割をどう考えているか、またそうした考えが制度の在り方や運用にどのように反映されているかを検討した。 以上の調査の結果として、(1)日本の里親は、公的な福祉制度の担い手としてよりも「子どもの親になる」という疑似養子縁組的・私的家族としての役割が期待される傾向があるのに対し、アメリカの里親はそうした私的な性格よりも、原則として親子再統合までのプロフェッショナルな養育の担い手としての役割が期待されていること、(2)そうした違いに伴い、ケースプランニングを重視するか否かなど里親制度の設計にも違いがみられることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、里親の権利義務を明らかにすることである。これまでの研究により、里親の制度的役割について日米比較の視点も含めて明らかにできた。これにより、来年度に実施する里親の権利義務の検討のための準備が整ったといえる。以上の理由で、研究は順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(24年度)は本研究の最終年度に当たる。来年度は、昨年度・本年度の研究成果を踏まえ、里親としての適切な役割遂行に必要でありかつ子どもの福祉の促進のために必要とされる里親の権利義務について明らかにする。昨年度、本年度の研究は里親制度の社会的な役割やその実態に焦点を当てるものであったが、来年度の研究は法学理論的研究が中心となる。本研究者は、24年3月末で早稲田大学を退職するが、24年4月1日より名古屋大学大学院法学研究科准教授(法社会学)として勤務することになっているので、法学その他の研究文献へのアクセスおよび良好な研究環境は24年度も確保され、研究遂行に問題が生じることはないと考えている。
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Research Products
(1 results)