2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の政策決定過程における野党の影響力に関する理論的・実証的研究
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22730112
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70313484)
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Keywords | 民主党 / 構造改革 / 格差対策 / 子ども手当 / 小泉純一郎内閣 |
Research Abstract |
本年度は前年度までの研究に続いて、1990年代以降の政策決定過程において野党が政策の内容に及ぼした影響について研究を行った。 新聞記事や書籍などの文献資料を活用し、内閣の主要政策を把握することに務めた。この一方で、政治家や官僚に精力的にインタビューを実施し、特に民主党の政策の変容について分析し、以下のことを明らかにした。 1996年9月に民主党は結成される。1997年12月に新進党が解党し、新進党に所属していた議員が新党を結成すると民主党はその一部と1998年4月に合同する。その際、民主党は党としての基本政策として経済の構造改革を掲げる。ただし、民主党の政策は揺れ動く。菅直人代表は経済不況の中、橋本内閣を批判し、減税を求めた。1999年に鳩山由紀夫が代表に就任すると構造改革路線を鮮明にし、小渕内閣の財政拡張政策を批判する。 その後、2001年4月に小泉純一郎内閣が誕生後も民主党は構造改革を主張し、道路公団民営化など小泉内閣の構造改革は不十分であると批判することになる。もっとも小泉内閣の掲げた郵政民営化政策に対しては党内の反対論が強く、明確な政策を打ち出すことができなかった。民主党にとっての転機は2006年4月の小沢一郎の代表就任であった。小沢代表は構造改革路線を転換、これを批判し、格差対策を民主党の主要な政策として掲げる。この中には子ども手当、農家戸別補償、高校無償化などが盛り込まれていた。この政策を掲げて、民主党は2007年7月の参議院選挙や2009年8月の総選挙に勝利を収めることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は戦後日本の政策決定過程において、野党が与党の政策の内容に対し及ぼしてきた影響を理論的、実証的に分析することである。 これまで1990年代以降について精力的に作業を進めてきた。この時期については、日記等一次資料の公開が十分進んでいない中で、事実関係を明らかにするためにはインタビュー等を活用する必要があった。インタビューを行う場合には、先方との日程調整を含め、文献を利用するよりも時間を要すことが考えられるため、この時期の調査を優先させたためである。 この結果、この時期について内閣の主要政策に把握した上で野党が掲げてきた政策について事実関係について十分理解することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、事実関係としては、自民党が結党された以後の時期を含め、戦後全般における内閣の主要政策と野党の政策を把握することが必要である。 その上で内閣と野党の政策が相互にいかに影響を及ぼしたのか分析し、野党の政策がいかに内閣の中に取り組まれていったのか明らかにすることも必要である。
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Research Products
(1 results)