2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730128
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
山岸 敬和 南山大学, 外国語学部, 准教授 (00454405)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アメリカ合衆国 / 医療制度 / 医療保険 / 退役軍人 / 医師会 |
Research Abstract |
1960年と1970年代は、アメリカにとって現在の医療保険システム(貧困者、高齢者、障害者は公的保険に強制加入、その他は民間保険に任意加入)が出来上がった時期である。本研究は、1960年代以降のアメリカ医療制度の発展を、アメリカ医師会などの利害関係者が採用した戦略の変化に注目しながら分析することを目的としている。本年度は研究3年目に当たる年ということで、資料収集や聞き取り調査を行なうと同時に、以下のような著書や論文の執筆を行なうことで研究のまとめの作業に入った。 1)「アメリカ医療制度改革をめぐる争い―対立の対立軸は何か」『社会保険旬報』2497号(2012年6月)、12-18頁。本稿では、2010年3月に成立した医療制度改革法の歴史的意義とその成立をめぐる利害対立を明らかにした。 2)「アメリカ医療制度改革を最高裁―最高裁判決が意味するもの」『社会保険旬報』2502号(2012年7月)、10-16頁。本稿では2010年3月に成立した医療制度改革法の合憲性に対する合衆国最高裁判所の判決をめぐって、どのような意見の対立があったのかを論じた。 3)『American Politics from American and Japanese Perspectives―英語と日米比較で学ぶアメリカ』(Michael Pisapiaとの共著)(大学教育出版、2013年)、219頁。本著ではアメリカの政治システム、政治文化、利益集団政治、公共政策などの特徴を日本との比較によって明らかにしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
4年計画の3年目に当たる本年度は、前2年間の研究実績を踏まえて、アメリカと日本の医療制度の発展に関する資料の更なる収集、その資料の整理と分析を行った上で、論文・著書の形で研究結果を発表していく計画であった。「研究実績の概要」の部分で記した業績に加え、以下に示すようにさらに論文をもう一点、そして最終年度に行なう予定であった著書としてまとめる作業を前倒しで行っている。 1)”War, Veterans, and Americanism: The Political Struggle over VA Health Care after World War II,” Japanese Journal of American Studies (ゲラ刷り初稿確認の段階). 本稿は1940年代後半に退役軍人医療サービスがどのような政策発展をし、それが利害関係者にどのような影響を及ぼしたのかを論じたものである。2)『オバマケアと転換期のアメリカ―医療制度改革をめぐる政治的争い』(原稿が書き終わった段階)。本著は2010年に成立した医療制度改革についてどのような政治的対立があったのかについて論じるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」で記した『オバマケアと転換期のアメリカ』に加筆・修正を行なう。必要とあれば、アメリカ合衆国のワシントンDCやメリーランド州において資料調査や聞き取り調査を行なうことで裏付け作業を行なう。
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Research Products
(5 results)