2011 Fiscal Year Annual Research Report
ケネディ、ジョンソンと欧州統合-封じ込めと経済的弱体化の狭間で
Project/Area Number |
22730142
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
倉科 一希 国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (00404856)
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Keywords | 政治学 / 西洋史 / 国際関係論 / 外交史 |
Research Abstract |
平成23年度の目標は、1960年代中葉のヨーロッパ経済共同体(EEC)における「空席危機」に対する米国ジョンソン政権の対応を、北大西洋条約機構(NATO)をめぐる対立を踏まえながら分析することにあった。この二つの問題が、ともにフランスのドゴール大統領による米国の覇権への挑戦に端を発したことを留意しつつ、両国の対立の帰趨が西独の立場によって大きな影響を受けたことに着目し、米独関係の文脈にジョンソン政権の対応を位置づけようとした。 以上の目的を達成するため、本年度は先行研究の分析を進めると同時に、米国およびドイツにおける一次史料調査を行った。米国については国務省の文書に焦点を当て、同盟関係および経済問題に専従する部局が、具体的な争点にどう対応したのかを明らかにする文書の探索に努めた。また、ドイツでは外務省の史料に焦点を当て、当時の西独政府がどのような対米・対欧政策をとったのか、全体像の把握に努めた。 これらの史料調査および先行研究の分析から、米国および西独の政策に関して、以下の二点が解明された。米国については、国務省が同盟の推移に大きな危機感を有していた。これは、すでに先行研究でも指摘されているように、大統領府と大きく異なっていた。だが、自国政府の政策に影響を与えられなかった国務省が、NATOや西欧諸国を通じた影響力行使を図った可能性は否定できない。このような可能性を念頭に、史料の分析を進める予定である。 西独については、西独政府が対米政策と対欧政策の関連を意識しながら政策を形成していたことが解明された。とくに安全保障政策たるMLFとEECの統合をリンクさせて対仏交渉に当たったことは、西独政府の立場を理解する上で重要な示唆を与える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1960年代の米欧関係は、内外の学界において非常に活況を呈している分野の一つである。そのため、2000年代に限っても多数の先行研究が出版されており、その確認に予想以上の時間を費やしている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに入手した一次史料や二次文献の分析を進め、平成24年度中に何らかの形で成果の発表に至ることを目指す。さらに長期的には、これまでの研究成果と統合し、1960年代の米欧関係史に関する包括的研究として発表することを目標とする。現時点では、新たな海外史料調査は必要と考えているが、できる限り焦点を絞った最小限の調査に留める。むしろ、先行研究の分析やすでに取得した一次史料の分析を進めることに、一義的な重要性をおく。
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Research Products
(1 results)