2010 Fiscal Year Annual Research Report
情報通信産業における構造規制と行為規制の政策シミュレーション分析
Project/Area Number |
22730207
|
Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
黒田 敏史 東京経済大学, 経済学部, 専任講師 (80547274)
|
Keywords | 経済政策 / 情報通信産業 / 周波数オークション / 比較審査 / 携帯電話 / 参入・退出 / 構造推定 / ネットワーク効果 |
Research Abstract |
本研究では情報通信産業における競争促進政策において、構造規制と行為規制の組み合わせがいかなる効果を持つかについて、政策をパッケージとして採用した場合のシミュレーションを行う。本年度は政策課題の整理、理論的検討、利用可能なデータの整備を起こった。 その結果、政策的課題として最も注目すべき課題として、周波数オークションの導入の検討がお粉合われていることから、周波数オークションの導入を構造規制とみなし、その導入による参入・退出行動への影響、その後の市場での事業者の行動への影響を分析するとともに、オークション導入による弊害を行為規制を通じて抑制する方法を検討する事とする。 周波数配分方法について、オークション理論、メカニズムデザインの理論のサーベイを行った結果、現実のオークションには複数の均衡が存在しうること、事業者の戦略変数がいずれの変数であるかによって周波数配分方式が事後の市場行動に与える影響が異なってくること、財の間に補完性が存在しない事を前提として設計された米国のオークションで大きく効率性が損なわれている事等が明らかになった。また、全国免許であったとしても携帯電話にはローミングなどにより国を跨いだネットワーク効果が存在するため、全国免許であってもオークション実施タイミングによっては補完性による問題が生じうる事が明らかになった。 そこで、モデルで採用すべき要因を整理するために、オークションと比較審査という二つの配分方式がその後の市場にいかなる影響を与えるかをノンパラメトリックな政策効果の推定方法を用いて比較を行った。また、国を跨いだネットワーク効果が存在するかを分析するための構造モデルを構築した。これらの結果を踏まえ、移動体通信市場における参入、退出の構造モデルを構築し、推定を行う予定である。
|