2012 Fiscal Year Annual Research Report
新稲作技術の採用・伝播過程と経済インパクトに関する実証研究:インドネシアの事例
Project/Area Number |
22730245
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Research Institution | 日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
Principal Investigator |
高橋 和志 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (90450551)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 経済発展 / 農業技術選択 / インパクト評価 / インドネシア |
Research Abstract |
本研究では、近年、世界各地で広まりつつあるSystem of Rice Intensification(SRI)と呼ばれる新しい稲作技術について、インドネシアを事例に、(1)その技術採用・伝播過程を、行動経済学や開発経済学の見地から実証的に分析するとともに、(2) それが採用農家に与える経済的インパクトを厳密な計量手法を用いて評価し、政策形成の指針を作成することを目指す。 研究の結果、(1) SRI 採用により、単位当たり稲作収量や稲作所得は非採用時と比べて60%以上有意に増加するが、同時に農業労働投入時間が増えるため、稲作以外の非農業労働収入を減らす、(2) 稲作所得上昇と非農業所得減少により効果が相殺され、家計総所得はSRI を採用している農家と採用していない農家では統計的に有意な差がなくなる、(3)家庭内労働需要が増えることで、子どもが学校に通えず、農業の手伝いを強いられることが懸念されたが、そうした負の影響は見当たらない、ことが判明した。 また、SRIの採用規定要因に関する分析からは、灌漑用水へのアクセスがよく、家族労働力が豊富な場合、SRI採用が促され、さらに近隣の農業アドバイザーがSRIを実践している場合には、採用の中断も起こりにくいというネットワーク効果の存在が明らかになった。他方、家計がリスク回避的である場合にはSRIが採用されにくく、また、家計が不確実性回避的であると、SRIコンポネントのうち特に周辺農家との水配分協力が必須で、コーディネーションの失敗の可能性が高い間断冠水を採用しにくいことが明らかになった。 本研究の成果はEast Asian Economic Associationなど4つの学会・会議で発表されたほか、2本の論文が海外学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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