2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730256
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
宮崎 毅 明海大学, 経済学部, 講師 (40458485)
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Keywords | 市町村合併 / 地方財政 / 分権化定理 / 住民投票 |
Research Abstract |
諸外国では2変量プロビットやマッチングの構造推計など精緻な手法を用いて、合併の意思決定に関する推計が行われている。これらの推計では単純な2値変数モデルよりも頑健な推計が可能だが、合併の成否に関する2値変数を従属変数にすると、合併が不成立の際にどの市町村が合併に消極的なのかわからない。一方、合併の住民投票データでは、合併への賛成割合によって各市町村の合併に対する意欲を連続変数として把握できる。日本の市町村合併の調査・研究を進める中で、日本では住民投票が行われており、このデータを用いて合併の意思決定を詳しく分析できる可能性があることが分かった。 そこで本研究では、住民投票データを用いて合併の意思決定を詳しく分析した。既存の研究でも分析対象とされた、人口規模や公共財に対する選好、補助金額などの相違が市町村の合併に及ぼす影響を検討した。ただ、住民投票のデータは整備されていないため、「合併デジタルアーカイブ」(総務省)や各自治体や合併協議会のHPなどを参考にして、一部の住民投票についてデータベースを作成した。分析の結果、人口規模の大きい自治体と小さい自治体で合併意欲が高く、補助金が大きい或いは小さい自治体で合併意欲が小さいことが分かった。 ある程度の観測値数を持つ住民投票データを用いて合併の意思決定を推計した研究はこれまでになく、住民投票データを用いて推計を行っている点が本稿の貢献である。日本の市町村合併に関する研究だけではなく、理論モデルに基づいた管轄権の統合や分離に関する実証分析にも新しい結果を提供できると思われる。
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Research Products
(1 results)