2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける金融協力体制構築に向けての実証的研究
Project/Area Number |
22730259
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
横溝 えりか 大東文化大学, 経済学部, 准教授 (20298136)
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Keywords | 対外債務 / 国際協力 / 持続可能性 / 円の国際化 / パス・スルー / 援助 / 金融制度 / 金融市場 |
Research Abstract |
東アジアにおける金融協力体制構築に向けて、また米ドルやユーロと並ぶ円の国際化に向けて、東アジア諸国における円での資金調達を支援する具体策を提示することが本研究の目的です。研究内容の一つは各国対外債務最適水準の推計です。この推計により、各国が円建て債券を発行するにあたって保証を付ける場合に、保証額の上限を求めることができます。もう一つは、各国の輸出入品目別に外国為替相場のパススルー率を推計することです。それによって、各国企業が資金調達を円建てで行う場合に、各国通貨価値が急激に下落してもバランスシート問題が発生する危険の少ない業種を特定できます。各国が円資金調達を行う際に日本が支援すべき上限額を求めるのと同時に、支援を行うのに適した業種の絞込みを行うことで、平静時における円資金調達の支援から、円の国際化に向けた具体策を提示することができます。 平成22年度はマクロ経済データと金融データを使い、対外債務最適水準の推計を、東アジア各国について試みました。今回申請した研究では構造型モデルを用いて検証を行います。本年度に出てきた問題点は、検証を行ったところ国ごとにモデルのパフォーマンスの良し悪しにばらつきがあり、金融市場の部分でそれが顕著であったことでした。この問題には、2通りの方法での対応を試みました。1つは、モデルの中の金融市場の部分について国ごとに各構造方程式の変数構成を再検討することでした。変数構成を再検討するにあたり、国際機関や各国中央銀行が公表する各国の金融制度や金融市場に関する報告書等を用いることで、各国金融市場の特徴をモデルに反映させることを試みました。もう1つは、モデルの形を一般均衡モデルにすることでした。来年度は引き続き、モデルのパフォーマンスを改善させることに、まずは努めていきます。
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