2010 Fiscal Year Annual Research Report
産業構造の複合的ネットワーク分析とその数理モデル構築
Project/Area Number |
22730321
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
井上 寛康 大阪産業大学, 経営学部, 講師 (60418499)
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Keywords | 経営学 / 技術経営 / ネットワーク |
Research Abstract |
企業はさまざまな関係性を周囲と形成しうるが,それら関係性は種類が多様なだけでなく,その組み合わせが企業に影響を与えているはずである.そこで本研究では,企業の複合的ネットワークの構造分析と成長モデルの検証を行う.本研究では企業とそれをとりまく組織について,複数の異なる関係性データを利用して複合的ネットワークを作成した.それら関係性データとは,特許の共願関係,論文の共著関係,取引関係,役員派遣関係,株所有関係,論文引用関係である.コンソーシアムやプロジェクトへの参加関係を調べるためのwebcrawlerは開発途上である.ネットワークの構造分析手法は近年急速に発達しているが,そのうちのp^*モデルを利用する.p^*モデルは確率モデルであり,ある構造が確率的に有意に現れるかを判別できる.この手法により,日本の重点4分野において構成されているネットワークはそれぞれに特徴を持つことがわかった.たとえば特許と論文の共願・共著関係においては,どちらかを専門的に行うプレーヤーが見つかった.ほかに,取引と特許共願関係についてみると,企業間の取引・特許共願関係の構築可能性は,他の重要と思われるそれぞれの企業の業種や規模よりも,取引・特許共願関係がすでに構築されている,あるいはいないことがその反対の関係があるかないかにより強く影響を与えることがわかった.これらの知見はリンクの有無や数だけを問題にしてきた,従来の重回帰分析では求められえない知見である.
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