2010 Fiscal Year Annual Research Report
LCCが地方空港に与える影響に関する定量分析-英国を事例として-
Project/Area Number |
22730343
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
横見 宗樹 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (20388424)
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Keywords | LCC / 空港経営 / 地方空港 / DEA(包絡分析法) / 技術的効率性 / 空港の所有権構造 / 空港民営化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、LCC(低費用航空会社)が地方空港の経営効率性に与える影響を計測することである。イギリスはヨーロッパのなかでも早期にLCCが発展し、近年では地方空港に対しても積極的に就航している。LCCは地方空港を発地とする潜在的需要を顕在化する一方で、地方空港はLCC誘致のために空港使用料の低減を図ろうとする。つまり、LCCと地方空港は相互作用を及ぼしながら発展を遂げてきた。 これを踏まえて、イギリスの地方空港に関して航空系活動・非航空系活動の別にDEA(包絡分析法)により効率値の計測を実施した。前者は、18空港をサンプルに、投入項目として航空系費用、産出項目としてワークロードユニット(WLU)、航空機離発着数(ATM)、航空系収入を使用した。後者は、21空港をサンプルに、投入項目として非航空系費用、産出項目としてWLU、ATM、非航空系収入を使用した。つづいて、導出されたDEA効率値を被説明変数としてトービットモデルによる回帰分析を実施した。説明変数として、(1)路線構造に関する変数、(2)LCCに関する変数、(3)ヒースロー路線に関するダミー変数、(4)空港の所有権構造に関するダミー変数、を使用した。 分析の結果、航空系活動に関しては、(1)国際定期便のネットワークを充実させるよりも、LCCやチャーター便の就航比率を高めることが空港の効率的経営に結び付く、もしくは、(2)効率的経営をしている空港は相対的に多くのLCCやチャーター便を引きつける、非航空系活動に関しては、(3)LCCの誘致を拡大すれば空港ターミナルの経営効率性の増加に結び付く、もしくは、(4)効率的なターミナル経営をしている空港には相対的に多くのLCCが引きつけられる、その他に関しては、(5)ヒースロー空港に定期旅客路線を有する空港は高い効率値を達成する、(6)公的部門の所有空港は効率性に負の影響を与える可能性がある、ことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)