2012 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ鉄道会社における複会計システムと連結会計との関連性に関する研究
Project/Area Number |
22730347
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
春日部 光紀 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10336414)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 複会計システム / 連結会計 / 監査 / 鉄道会社 |
Research Abstract |
本研究は,19世紀末葉におけるアメリカ鉄道会社の複会計システムを多面的に分析することで,その歴史的展開過程を実証的に検討するものである。本年度は,実際に公表された年次報告書を用いて,アメリカ鉄道業における複会計システムの実態を実証的に検討した。 複会計システムに関しては,シカゴ・グレート・ウェスタン鉄道会社等の年次報告書を検討した。同社は1893年の再建されたが、再建後の第1期年次報告書では、複会計システムの形式を具備した財務諸表を作成していた。有形固定資産の価値をアピールするうえで、複会計方式を利用すれば資本勘定において長期資金と長期資産の関係を明確にすることができ、経営陣の意図に合致していたと考えられる。ただし、第1期では株式交換により取得した株式を計上しているが、第2期以降は路線や車輌等、具体的な有形固定資産勘定が掲記されている。 アチソン・トペカ・アンド・サンタ・フェ鉄道会社等、これまで検討してきた鉄道会社を含めて検討すると、1893年恐慌による倒産を通じて再建時に複会計システムが導入されたことが明白となる。そのさい、有形固定資産の価値を株主にアピールする必要が生じたが、長期資金と長期資産の関係が明確となる複会計システムと、子会社株式を具体的な資産に置換する連結会計は、経営者のニーズに合致していたと考えられるのである。 また、当時の鉄道会社で行われた監査の実態も併せて検討した。鉄道会社は路線の拡大を必然とするが、それに伴って経営陣の統制範囲を超えてしまった結果、まず内部監査の構築がなされた。トラベリング・オーディターという名称の内部監査人は、まさに鉄道業の特性を反映して生じたと考えられる。したがって、当時の監査報告書では、収入・支出の適正性と関連する証憑との突合が比較的重視されていた。鉄道業が多額の現金を扱うことも、内部監査の生成に大きく影響した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)