2012 Fiscal Year Annual Research Report
先住民族テレビの成立・存続要件と国家の制度的支援のあり方に関する研究
Project/Area Number |
22730391
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
八幡 耕一 龍谷大学, 国際文化学部, 准教授 (10452210)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 先住民族 / メディア / 政策科学 / テレビ研究 |
Research Abstract |
研究の最終年度に当たる本年度は、先住民族メディアと「先住民族の権利宣言」第16条の起草背景に関する資料収集と文献調査を継続しつつ、次第に明らかになった情報通信技術(特にインターネット)が交渉に与えた影響の把握に傾注した。 本研究から得られた示唆は次のとおりである。起草・交渉過程にあわせて発展・普及した人工衛星やインターネット等(特に後者)は、①先住民族に係る諸問題(以下、便宜的に「先住民族問題」とする)を社会全体で共有することに貢献した、②一部の先住民族団体に対して、テレビ以外の比較的廉価な情報発信手段を提供することになった。以上から、結果的に情報通信面での技術革新は、先住民族の権利宣言第16条(第一項は先住民族が固有の言語で独自のメディアを設立する権利を、第二項は既存メディアが先住民族の文化的多様性を反映するよう国家の働きかけを規定する)にも少なくない影響を与えたと推察される。別言すれば、国家が先住民族テレビ・先住民族メディアを制度的に支援する意義は、起草・交渉の過程を通じて低減あるいは変質したといえる。 それでもなお、本研究で調査したカナダのような国家では、最高法規レベルや放送法を含む国内法で先住民族問題の存在を認知しており、そのことが先住民族テレビの成立や存続に重要な役割を果たしていることは明らかである。つまり技術革新だけに依拠していては、先住民族テレビの成立・存続は十分に達成しえないといえる。 法令の重要性を指摘することは、「国民国家あってこその先住民族問題」という、ある意味皮肉な帰結をもたらすことになるが、電波を伝送手段に用いる以上、現実には国家の法的枠組みの支援なしに先住民族テレビの存続は容易ではないというのが本研究の立場である。今後は、国家の法的枠組みにとらわれないインターネットがどこまでテレビを代替するか、という社会情報学的側面からも研究を進めてみたい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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