2010 Fiscal Year Annual Research Report
福祉的貸付制度の包括的研究:母子福祉資金・生活福祉資金利用者と相談支援の実態から
Project/Area Number |
22730430
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鳥山 まどか 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 助教 (40459962)
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Keywords | 貧困 / 低所得 / 福祉的貸付 / 母子福祉資金 / 生活福祉資金 |
Research Abstract |
本研究は、母子福祉資金、生活福祉資金といった社会福祉制度としての貸付制度が果たすべき役割の範囲を明らかにし、より効果的な支援ツールとなり得る制度の方向性を示すことを目的とし、次の3つの課題に取り組むものである。 (1)母子福祉資金、生活福祉資金の創設時から現在までの各種資料の収集整理 (2)母子福祉資金、生活福祉資金の利用実態とその特徴を明らかにし、課題を探る (3)諸外国や民間団体における実践も参照しながら、相談窓口において担当者個人のレベルで行われている相談援助実践を収集・整理して示す 22年度はフランスにおけるマイクロクレジット関連団体および、日本の民間団体(グリーンコープ生活協同組合ふくおか・グリーンコープ生活再生相談室)へのヒアリングを実施した。これは上記(3)の一部にあたる。 ここで明らかになったのは、継続的な相談支援の重要性である。貸付前や返済中に細やかな面談が行われるほど貸付の目的が果たされやすい。また、フランスでは就職に直結する貸付(就職に自動車を必須とする地域での自動車購入等)の方が効果をあげる傾向にあった。さらに、フランスの公的機関(福祉事務所)のソーシャルワーカーは、貸付の利用には慎重で、むしろ給付や支払いの減免を優先させる傾向にあった。これは、生活福祉資金等を「第2のセーフティネット」として、生活保護に優先させる傾向にある日本との大きな違いである。 以上の成果については、『教育福祉研究』第17号に掲載予定である。
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