2010 Fiscal Year Annual Research Report
山谷地域の簡易宿泊所長期滞在者の実態と社会参加のための地域資源形成の試み
Project/Area Number |
22730448
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Research Institution | Tokyo Jogakkan College |
Principal Investigator |
義平 真心 東京女学館大学, 国際教養学部, 講師 (10415367)
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Keywords | 地域福祉 / 山谷地域 / まちづくり / 簡易宿泊所 / コミュニティソーシャルワーク |
Research Abstract |
寄せ場地域である山谷地域には簡易宿泊所が多数存在し、生活保護受給者を含めた長期滞在者は健康の問題を抱える人も多い。本研究においては彼等を対象に「簡易宿泊所の長期滞在者を対象とした健康・生活実態調査」及び「社会参加を通した簡易宿泊所長期滞在者の精神的・身体的健康状態の変化に関する調査」を行い、簡易宿泊所の長期滞在者の実態を明らかにし、地域資源を利用した社会参加による健康状態の変化を測定することで、山谷地域の共生のまちづくりを実践に移行するための科学的示唆とする。 平成22年度は「簡易宿泊所の長期滞在者を対象とした健康・生活実態調査」のプレ調査及び約30軒の簡易宿泊所に住まう約200名の長期滞在者を対象とした本調査を行った。対象者の大多数は生活保護受給者であり、その他は年金受給者や労働者である。調査対象者は建設業の日雇いをはじめとした非正規雇用に従事した経験がある人が多く、全体的に一般的信頼感や社会的スキルが低い傾向にある。なんらかの疾患を持つ人が多く、高血圧、腰痛/椎間板ヘルニア、胃/十二指腸潰瘍、糖尿病が多く、重複疾患を抱える人も多くみられた。それと関連して健康関連生活満足度も低い対象者が多い。また、中には有る程度の情緒的・身体的ケアが必要であるとみられる滞在者も多く存在したが、そのほとんどがNPO等の支援付きの宿泊施設と比較して簡易宿泊所でのより自由で自立的な生活を望んでいるという結果もでた。簡易宿泊所にいながらの介護を求める声もあることから、簡易宿泊所が利用しやすい地域ケアシステムを構築することが効果があると考えられる。
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