2011 Fiscal Year Annual Research Report
障害のある子どもの家族及び障害当事者への心理教育の効果
Project/Area Number |
22730461
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
米倉 裕希子 関西福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (80412112)
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Keywords | 感情表出 / 心理教育 / 知的障害 / 発達障害 / 家族 |
Research Abstract |
〔研究目的〕統合失調症患者の家族研究において、知見が確立されている家族の感情表出(Expressed Emotion,EE)研究を障害児の家族へ応用し、研究してきた。また、統合失調症患者の家族心理教育は、予後改善効果といった知見が得られており、家族だけではなく、患者本人へ広がりつつある。本、研究目的は、EEの知見をもとに、心理教育をさらに広げ、(1)障害のある子どもの家族、(2)知的障害のある本人、(3)地域住民への心理教育実践を行いその効果を検証することである。〔研究成果〕(1)では、幼児期と学齢期のEEおよびQOLを比較したところ、幼児期の家族のEEおよびQOLともに低い傾向にあり、全体的健康感で幼児期の家族のほうが学齢期より有意に低かった。また、幼児期の障害児とその家族13組を対象に全5回の親子教室を実施。家族のEE、QOL、子どもの行動を評価したが、介入前後で有意な差はなかった。(2)では、知的障害のある本人10名を対象に、全7回の講座を実施。知識や仕事などの「自信度」を評価したが、介入前後で有意な差はなかった。(3)では、地域住民13名を対象に全5回のプログラムを実施。知識や障害の受容度などを評価。介入後、知識や対応、障害者との地域生活への自信が高まり、意識や距離の変化が見られた。また、発達障害の方が知的障害よりも自信がないといった傾向もみられた。〔考察〕研究の特色は、客観的かつ科学的な方法を採用し、家族、本人、地域それぞれにアプローチする点である。実践に参加する対象者は、すでに意識が高く、介入前後で有意にQOLや自信が高くなるといった結果は得られなかったものの、介入後もQOLやEEは安定していた。今後、より効果のあるプログラムを目指し、障害児の発達段階に合わせた家族心理教育プログラム、また発達障害や知的障害など障害特性に合わせたプログラムの検討が必要である。
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