2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730479
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
中間 玲子 兵庫教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (80343268)
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Keywords | 自尊感情 / 自己意識 / 理想自己 / 青年期 / ポジティブ信奉 |
Research Abstract |
本研究は、低自尊感情者の自己形成過程を明らかにする事を目的としている。平成23年度は、平成22年度に提起した「ポジティブ信奉」および「恩恵的自尊心(非主体的自尊感情より改変)」の概念を軸にしながらこれまでの成果をまとめ、それらとの関連において、青年期の自己意識および理想自己の変容過程を明らかにすることを目的とした。 (1)大学生を対象に、ポジティブ信奉尺度の再検査信頼性を確認するための調査を行った。その結果、十分な再検査信頼性が確認された。また、尺度の妥当性をさらに検討するため、成人を対象に類似概念との関連を検討し、併存的妥当性を確認した。 (2)ポジティブ信奉にいかなる効用があるのかを検討するため、成人を対象とした調査を行った。年収やポジションなど客観的な社会的地位の獲得とは関連がないこと、ただし、自尊心など心理的健康に関する指標には高く寄与することが示された。これより、自尊心を高めるには、自らの認知的努力が必要であることが示唆された。現在、ポジティブ信奉と自尊心との関係、年齢や社会的立場との関係などについてさらなる検討を進めている。 (3)恩恵的自尊心の尺度作成を行い、それが心理的健康といかなる関連にあるのかを検討した。その結果、自尊心が低くとも、恩恵的自尊心が高ければある程度の心理的健康は保たれること、むしろ、心理的健康の面では恩恵的自尊心の方が中心的役割を担うことが示された。 (4)青年期の自己形成と自尊心との関係、および、恩恵的自尊心と自尊心の関係構造を明らかにすることを目的とし、中学生から大学生を対象とした調査を行った。現在、分析を進めている。自尊心および恩恵的自尊心は、発達毅階における差の現れ方に違いが見られ、恩恵的自尊心も低い低自尊感情者は、かなり心理的健康が阻害された状況にあることが明らかにされつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に若干変更が生じており、インタビュー調査よりも調査研究を先行させた結果になっているが、研究全体の進行としては問題がないため。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調なので、このまま進めていく。ただし、インタビュー調査による質的検討は大きな課題であるため、質的検討を効率的に進めていくためにも、調査研究の成果のまとめと並行して予備的インタビューにも着手する。
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