2010 Fiscal Year Annual Research Report
集団の課題構造とコミュニケーション・チャネルとの連関に関する探索的研究
Project/Area Number |
22730498
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
松田 昌史 日本電信電話株式会社NTT コミュニケーション科学基礎研究所, メディア情報研究部, 研究員 (60396140)
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Keywords | 集団作業 / 合議 / 遠隔地間共同作業 / 実験研究 / 交渉 |
Research Abstract |
本課題は、集団協調作業支援システムを社会心理学的に評価し、将来の技術開発や産業の発展に貢献することを目指す。この目的のため、遠隔地間コミュニケーションシステム利用時と対面状況とを比較し、集団合議に与える影響について実験室実験で検討した。 実験では、3人一組の参加者グループのべ36組を用い、既存の実験データの追試を行った。実験では、グループに3つの選択肢を与え、全員一致で一つを選ぶという交渉課題を行わせた。各選択肢に対する各人の選好は互いに矛盾し、交渉により自分の意見を認めさせる課題である。理論上は各選択肢の採択率が等しくなるよう作成されている。1要因3水準の条件を設置した。(1)対面条件では、全員が同室で120cmの正三角形の頂点の位置に参加者を着席させた。(2)方向なしビデオチャット条件では、参加者を異なる実験室に入室させ、PC画面上のビデオチャットを用いて課題を行わせた。画面上には他参加者の胸から上の正面映像が左右に配置されていた。(3)方向ありビデオチャット条件も参加者を異なる実験室に入室させたが、対面条件と同じ座席配置になるよう、遠隔地の参加者が本来いるであろう位置に大型ディスプレイを設置し、そこに等身大映像を投影した。この条件では、参加者の顔の向きや視線方向などを利用することができた。 実験の結果、(1)対面条件と(3)方向ありビデオチャット条件では全ての選択肢が当確率で選択されていたのに対し、(2)方向無しビデオチャット条件では選択肢に偏りが観察された。さらに、合議中の発話パターンについて分析したところ、(3)方向ありビデオチャット条件では、顔や身体の向きを変化させることで会話の流れを調整しやすいため自然な議論が可能であり、それができない(2)方向無しビデオチャット条件では発話量の過多に結果が大きく依存する欠点があることが示唆された。
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Research Products
(5 results)