2010 Fiscal Year Annual Research Report
接近と回避の動機づけが注意のコントロール機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
22730523
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田中 あゆみ 同志社大学, 心理学部, 准教授 (00373085)
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Keywords | 教育系心理学 / 動機づけ / 注意 |
Research Abstract |
本研究の目的は,接近・回避目標が注意のコントロールに与える影響を検討することであり,本年度の計画は,1)接近-回避動機づけの実験的操作の開発,2)注意コントロール機能測定課題の開発,3)接近-回避動機づけの質問紙の標準化を行うことであった。1)および2)について,本年度はDreisbach & Goschke (2004)の課題の日本版が注意のコントロール機能の比較に対して信頼性と妥当性を備えているかどうかを検討するためにこれまでに行った実験結果の分析を再度行った。統制群において,上記の課題を用いたこれまでの知見と一致する傾向が認められ,一定の信頼性が確認できた。また,反応コスト(注意の切り替え前後での反応時間の差)を最終的な注意コントロール指標として用いることが妥当であると結論し,分析をまとめた結果,接近動機づけと注意のコントロールにおける柔軟性との関連が確認された。これは先行研究を部分的に支持する結果であり,課題の妥当性も示唆された。これらの結果のまとめは,2010年4月に京都で開催した関西動機づけ研究会および8月に東京で開催された日本教育心理学会第52回総会で報告した。3)について,本年度はGjesme & Nygard (1970)による接近と回避の達成動機づけの尺度(The Achievement Motives Scale:AMS)の信頼性・妥当性の検討およびAD/HD傾向との関連を予備的に調査するために,大学生約250名を対象に調査を行った。また3)に関連して,10月に大阪で開催された発達心理学会関西地区懇話会のシンポジウム「小中連携の心理学的基盤:小中移行期の支援をどう考えるか」で「動機づけの発達と小中移行期の課題」と題する話題提供を行い,接近と回避の達成目標の発達的な変化および認知面での発達における課題について発表し,現職の教員などとの議論から今後の研究への示唆を得た。
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Research Products
(2 results)