2010 Fiscal Year Annual Research Report
不眠症と悪夢障害に関する認知行動療法の実証的効果研究
Project/Area Number |
22730552
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
松田 英子 江戸川大学, 社会学部, 教授 (30327233)
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Keywords | 不眠症 / 悪夢障害 / 睡眠 / 認知行動療法 / 労働者 / 大学生 / 留学生 / 抑うつ |
Research Abstract |
(1)日本人成人における不眠症と悪夢障害の実態と特徴の解明のため、調査研究を実施した。労働者においては、不眠症の疑いのある者が20%を超え、職務ストレスそのものよりも、不眠、過眠、悪夢症状から成る睡眠の不調が、抑うつ症状をよく予測するモデルが見出された。特に20代、30代の若年層の睡眠の不調が深刻であったが、睡眠改善薬の服用は4.4%と低く、医療機関受診などの対策が適切に行われていない実態が浮き彫りになった。本調査の実施にあたり、(株)フィスメック社が従業員援助プログラムを提供している企業数社に研究協力の承諾を得、睡眠教育の授業を実施し、調査協力者個人へは結果のフィードバックを行った。さらに労働者データと(2)大学生データ(日本人学生、在日中国人留学生、中国人学生への調査研究)と比較したところ、不眠症の疑いのある者が40%を超えるなど、睡眠の不調症状はより学生で深刻であるものの、成人同様睡眠改善薬の服用は3.3%と低く、薬物治療による抵抗感がある実態が確認された。特に学生は労働者に比べ過眠症状が強く、睡眠のリズムの乱れの影響が疑われた。 また日本人労働者と日本人学生は、中国人留学生および中国人学生より、悪夢症状の訴えが強かった。3つの学生集団のデータにおいて、学生生活ストレサーそのものよりも睡眠の不調が抑うつをよく予測するモデルの適合度が高く、成人と同様、抑うつの予防には睡眠の不調の改善が重要であることが示唆された。 (3)不眠症に対する認知行動療法の支援効果の検証のために、事例研究を実施し、非薬物療法である筋弛緩法や入眠前の思考に対する認知療法の効果を一部確認し、現在エビデンスを一積み重ねている最中である。
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Research Products
(7 results)