2012 Fiscal Year Annual Research Report
終末期の治療選択に際するがん患者と家族に対する心理支援プログラムの開発
Project/Area Number |
22730566
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
塩崎 麻里子 近畿大学, 社会学部, 講師 (40557948)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 癌 / 終末期 / 遺族 / 意思決定 / 心理支援 / 後悔 |
Research Abstract |
終末期のがん患者と家族にとって,最期まで辛い治療を行いがんと闘うか,治療を中止しQOLを重視する代わりに治癒を諦めるかの意思決定は大きな心理的苦痛を伴う.患者との死別後に,その決断に対して強い後悔を引きずる遺族も少なくないことが明らかにされている.本研究の目的は,遺族の後悔という視点から意思決定を検討し,後悔が生じるメカニズムを解明することと,その結果を踏まえ,患者と家族の意思決定スタイルに応じた心理支援方法についての知見を得ることである.またこれらの知見を応用し,意思決定の際の心理的苦痛や,遺族となった際の後悔を軽減するために,患者-家族を一単位と考えた心理支援プログラムを開発することを目指している. 本年度は,終末期の治療選択にかかる意思決定を経験したがん患者の家族13名(平均年齢58.2歳)を対象にインタビュー調査を実施した.うち11名が女性,9名が遺族であった.インタビューでは,終末期の治療選択に関する気持ちを後悔という視点で取り上げ,当時から今に至るまでの心理的プロセスを整理し,後悔に影響する要因について探ることを目的としていた.質的分析方法(SCAT)を用いて,現在分析中である.現段階での結果としては,治療を中止するという選択をするか,最期まで治療を続けるという選択をするかという治療選択の内容にかかわらず,1)患者が治らないことを家族が受け入れること,2)患者の意思を尊重したと家族が思えることが家族の後悔に影響をしていた.また後悔を制御する方略としては,1)人間にはどうしようもできない運命があると思うこと,2)当時どうしたらよかったかについては考えないこと,などが抽出された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理委員会の開催時期等の関係で、インタビューを実施する時期が予定よりも遅れたことが、達成度がやや遅れている理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、病院や施設関係者と連携をとりながら、がん患者の遺族に対するインタビューを実施していく。また、研究協力者にインタビューの研修をすることで、より効率的にデータを収集する予定である。
|