2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの水迷路学習場面を応用した新しいうつ動物モデル
Project/Area Number |
22730593
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
土江 伸誉 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00434879)
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Keywords | 実験系心理学 / 行動学 / 神経科学 / ストレス / 脳神経疾患 / 動物モデル / うつ病 |
Research Abstract |
申請者は、雄性のC57BL/6Nマウスを被験体とする水迷路学習実験の場面において、プラットホームのサイズとプールの周囲の環境を操作して課題の難度をある一定の水準以上に設定すると、一部の被験体が、プラットホームへの逃避という適応的対処行動の学習を徐々に放棄し、遂には行動的絶望状態を示す"Loser"となることを発見した(土江・桐山・谷口,2006;土江・桐山,2009 ; Doe, Takahashi, & Kiriyama, 2010)。 平成22年度は、Loserのうつ動物モデルとしての妥当性の補強を目指し、主として行動テストによる評価を行った。水迷路学習訓練終了後にホームケージ内の自発活動性の日内変動を測定したところ、Loserタイプの被験体では、通常は最も活動性が高くなる明期から暗期へ転換した直後の活動量が少なかった。つまり、水迷路学習場面で誘発された行動的絶望の影響は、通常の飼育場面にまで及び、自発活動性の抑制として表れることが明らかとなった。このLoserの自発活動性の抑制は、うつ病患者にしばしば見られる日常生活全般における活動性の低下を模した表現型として解釈可能である。また、Loserの行動的絶望状態の背景にある脳内変化を探索する目的で、免疫組織化学的手法を用いて海馬歯状回における神経細胞新生を評価した。その結果、Loserでは、健常な個体と比較して神経細胞新生が抑制されていた。 実験で用いたマウスの血液サンプルを適宜採取・保存しており、今後、サイトカイン等の生化学的指標の定量を進め、行動データとの関連について検討する予定である。
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Research Products
(6 results)