2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730701
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Research Institution | Seiwa University |
Principal Investigator |
鈴木 隆弘 清和大学, 法学部, 講師 (40433685)
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Keywords | 社会科教肓 / 貧困問題 / 社会的排除 / 開発教育 / 人権教育 / ホームレス |
Research Abstract |
貧困問題を社会科においてどのように教えるかについて、本研究は、「社会的排除」をキーワードとして、(1)社会科教育における貧困の捉え方を明らかにし、(2)現在の貧困をどのように捉え、教授/学習すべきなのかを明らかにすることを目的としている。同時に(3)貧困解消に向けた現在の教育実践を収集・検討し、(4)貧困を教える社会科指導計画を示すことを目標としている。 本年は、(1)については開発教育協会全国研究集会にて行った発表「開発教育における貧困認識」では、開発教育及び社会科教育において、貧困問題が、絶対的貧困から、相対的貧困へと視座が変化したこと、及び剥奪モデルを導入することによって貧困観に変化が生じていることを示した。また、現在の実践では社会的排除への接近が見られることを明らかにした。日本人権教育学会での発表「ホームレス問題に関する授業の現状と課題」では、人権教育の観点からホームレス問題授業において、社会的排除の視点が生徒に内在する自己責任論によって、認識の歪みが生じていること、これを克服する必要性が今後の実践に求められることを明らかにした。以上により、貧困を必ずしも社会的排除と結びつけられていない現状を示すことができた。これにおいて80年代以降の認識と課題を明らかにした。80年代以前については、資料収集及びデータ化を完了しており、テキストマイニングによる解析を行った。 (2)については、(3)・(4)においてホームレス問題における授業指導計画を作成することを計画していることから、当初予定していたEUの人権教育を検討対象から外し、代わりにアメリカにおけるホームレス問題についての教授案を入手、翻訳を行い、その実践方法についての分析を行った。その結果、日本とは異なり宗教教育の側面が強い反面、社会的排除という観点においては同様の実践と、同様の課題を抱えていることが明らかになった。
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