2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730701
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
鈴木 隆弘 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (40433685)
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Keywords | 社会科教育 / 貧困問題 / 労働法教育 / 社会的排除 / 人権教育 / 開発教育 / ホームレス / 法教育 |
Research Abstract |
貧困問題を社会科においてどのように教えるかについて、本研究は、「社会的排除」をキーワードとして、(1)社会科教育における貧困の捉え方を明らかにし、(2)現在の貧困をどのように捉え、教授/学習すべきなのかを明らかにすることを目的としている。同時に(3)貧困解消に向けた現在の教育実践を収集・検討し、(4)貧困を教える社会科指導計画を示すことを目標としている。本年は、昨年度の研究成果である(1)・(2)を踏まえ、目標(3)と(4)を達成すべくに研究を行った。 (3)貧困解消に向けた現在の教育実践を収集・検討においては、震災等の影響もあり、ホームレス問題を扱った授業実践以外に、ホームレス状態に陥らないための教育実践として、労働法を教材にした実践の調査も行った。この結果、労働法教育実践においては、法教育推進の観点から行われた実践と、雇用現場におけるケーススタディ的実践に分かれており、社会科教育の観点からは、この両者を踏まえた新たな実践構築が必要であることが明らかになった。また、ホームレス問題を扱った授業実践については、生田武志などに対するインタビュー調査を行い、その実践内容、その成果などについて明らかにした。 (4)貧困を教える社会科指導計画については、上記(3)にある通り、究極の貧困状態といえるホームレス(問題)に関する調査などが震災の影響で不十分であったため、インタビュー調査及び昨年の成果であるアメリカにおける実践などを参考に、ホームレス問題に関するアクティビティを開発し、その成果を問うことができた。 以上の作業を通じ、本研究では、ホームレスや労働現場における貧困状況を分析し、その成果を踏まえ、現在の貧困を教える社会科指導案を示すことができた。貧困層が増大する現代において、その実情を教える新たな社会科教育(実践)の可能性が示せた点において、本研究は社会的な意味を持つものである。
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