2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740019
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石川 秀明 長崎大学, 教育学部, 准教授 (90390385)
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Keywords | ディリクレ級数 / ゼータ関数 / 解析接続 / 係数和の評価 |
Research Abstract |
数列a(n)を考え、x以下のすべての自然数nについてのa(n)の和をA(x)とする。一方a(n)を係数にもつディリクレ級数をF(s)とする。本研究ではF(s)に関数等式を仮定せず、それよりも弱い条件を与える。F(s)に与える条件を様々に変えた時、対応するA(x)の必要十分条件がどのように変わるのか調べ、F(s)の非収束領域での性質を決める要因をA(x)の観点から明らかにしていくことが本計画の目的である。関数g(x,m)の不定積分をg(x,m+1)とする。ここでmは非負整数。このとき関数列g(x,m)m=0,1,2,3,.....を考え、各g(x,m)のxについての評価を考えたとき|g(x,m)|がxのべき乗の定数倍以下になる事がいえたとする。この時のべき指数をα(m)とする。計画立案の当初は「A(x)から主要項を引いた誤差項をg(x,0)としたときに、m+1-α(m)→∞(m→∞)、ならばF(s)は全平面に解析接続できる」と「全平面に解析接続でき、加えて|F(s)|のある評価を仮定するならば、m+1-α(m)→∞(m→∞)」について証明ができていた。23年度は、この結果についてさらに精査し、そのような関数列g(x,m)の存在が言えた場合。一意に確定することを証明できだ。これは当初予想していなかった事柄であり、大変興味深い現象に思える。これらの成果は論文として、雑誌Publications del'Institut Mathematiqueに掲載予定である。また計画当初はm+1-α(m)に注目していたが、考察の過程で次第に分かってきたことはα(m)/mの上極限の観点から論じるほうが、本質をより鮮明に記述するのではないかという点である。23年度はα(m)/mの上極限に注目した命題を設定し、十分条件は証明できた。しかし必要条件のほうが証明できていない。次年度以降への課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書では23年度にはF(s)に指数関数オーダー評価を仮定した場合の命題の設定を予定していた。しかし、前年度までに予定していたα(m)/mの上極限に注目した命題の証明が完成しておらず、予定通りには進んでいない。計画の遅れの大きな理由は、実績の概要に書いたように「関数列の一意性」という興味深い現象に気がつき、その証明に時間を割いたことである。計画は遅れているが、研究成果自体は豊かになったと前向きにとらえている。
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Strategy for Future Research Activity |
α(m)/mの上極限の観点から設定した命題の証明は24年度中には完成する感触はある。またF(s)に指数関数オーダー評価を仮定した場合の命題についてもなんらかの新しい結果は得られそうである。23年度以降に予定していたF(-n)(ここでnは非負整数)の線形和の問題については、基礎的事実の確認をしている段階である。研究協力者との活発な意見交換などを通し、計画達成に向けて努力していく。
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