2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22740020
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安田 健彦 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 准教授 (30507166)
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Keywords | F爆発 / フロベニウス射 / 非可換特異点解消 / モチーフ積分 |
Research Abstract |
まず22年度に開始した、原伸生、澤田宰一両氏との共同研究(2次元正規特異点のF爆発の研究)を継続した。その中で、有理2重点や単純楕円特異点のF爆発についての詳細がさらに明らかになった。この研究を論文にまとめ、プレプリントサーバーarXivにアップロードした。 また、これも22年度の開始した非可換特異点解消とフロベニウス射の研究を継続し、正標数の歪群環(skew group ring)の研究の応用として、野性的な商特異点に関する結果を得た。具体的には、余次元1で自由な野性的な有限群作用による商特異点は、強F正則にはならない(つまり悪い特異点である)という結果だ。この研究も論文にまとめ、arXivにアップロードした。 そして今年度から、当研究課題へのモチーフ積分によるアプローチも始めた。私の以前の研究で、モチーフ積分の理論をDeligne-Mumfordスタックに一般化したが、今回の研究はこれを正標数の野性的Deligne-Mumfordスタックへと一般化する試みだ。非特異なDeligne-Mumfordスタックは商特異点の非可換特異点解消と見なすことができ、歪群環の幾何学的対応物だ。従って、上述の非可換特異点解消とフロベニウス射の研究と密接に関連しているが、モチーフ積分という別の手法を用いる。しかし、この種の研究で野性的な場合は未開拓の分野であり、非常に難しい問題であると予想されるため、23年度の研究では、まず簡単な場合に何が起こっているのかを調べることから始めた。具体的には基礎体の標数と等しい位数の群による、線形作用に付随する商スタックの場合を調べた。この場合に、一般化されたアークの空間の構造を調べ、最終的にモチーフ測度を入れられることが分かった。そして2次元において、商多様体との間の、モチーフ積分の変換公式を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文2辺をarXivにアップロードし公表することができた。また、モチーフ積分使った新しいアプローチでも結果が出た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、モチーフ積分を使う方法、フロベニウス射や圏論を使う方法、コンピューターによる数値実験を用いる方法のそれぞれを研究し、必要ならそれらを組み合わせるなどし、多方面から現象に迫る。
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