2011 Fiscal Year Annual Research Report
超新星残骸の広域分子雲探査による高エネルギー放射起源の解明
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22740119
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 宏昭 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (70444396)
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Keywords | 分子雲 / 超新星残骸 / ガンマ線 / 星間陽子 |
Research Abstract |
本研究はNANTEN2望遠鏡によるCOの高励起線観測を複数の超新星残骸(SNR)に対して行い、付随する分子雲の分布・性質を明かにすること、また、SuzakuのX線のデータ、Fermi、HESSのガンマ線のデータを用いて、SNRでの衝撃波加速の物理、ガンマ線放射起源の詳細を明らかにすることである。2年目である今年度は下記のことを遂行した。 (1)CO輝線観測:NANTEN2望遠鏡を用いて12CO、13CO(J=1-0)輝線の観測をIC443に対して行なった。分子雲は赤外線との相関が非常に良い一方で、可視光とはきれいに反相関することを明らかにした。 (2)星間陽子の特定:W44、RX JO852.0-4622(Vela Jr.)、RCW86に対してCOと中性水素原子(HI)からSNRに付随する星間陽子の個数を特定した。 (3)TeVガンマ線との比較:(2)で特定した星間陽子とガンマ線放射との比較を行なった。Vela Jr、については星間陽子とガンマ線強度が角度方向においてよい一致を示すことを発見した。これはガンマ線放射が陽子起源を示唆するものである。(2)の3つのSNRについて、ガンマ線放射が陽子起源として、宇宙線陽亭のエネルギーを推定したところ、SNRのエネルギーの0.1-1%程度であり、若いSNRほど宇宙線陽子のエネルギーが小さいことを発見した。また、RX J1713.7-3946に対しても全星間陽子とTeVガンマ線の比較を行ない、論文にまとめた(Fukuieta1/2012)。 (4)GeVガンマ線との比較:SNRG8.7-0.1に対して、「なんてん」望遠鏡で取得した12CO(J=1-0)輝線とFermi衛星のGeVガンマ線、HESS望遠鏡のTeVガンマ線との比較を行ない、ガンマ線放射起源が宇宙線陽子起源である可能性を示唆した。本結果を論文にまとめた(Ajello et al.2012)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の超新星残骸について、星間陽子とGeV及びTeVガンマ線との比較が順調に進んでいる。内、一部についてはすでに論文となっており、一定の成果が上がっていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、本課題の研究項目の内、サブミリ波の観測が十分に行えていない現状がある。次年度は積極的にサブミリ波の観測を遂行し、分子雲性質・形成も含めた議論を行なう予定である。また、さらに超新星残骸のサンプル数を増やし、ガンマ線放射起源の理解を深めることを目指す。
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Research Products
(33 results)