2010 Fiscal Year Annual Research Report
X線CCDの高速低雑音信号処理に向けたアナログ・デジタル混在ASICの開発研究
Project/Area Number |
22740122
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中嶋 大 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70570670)
|
Keywords | X線 / CCD / ASIC / 宇宙 / 天文 / 衛星搭載機器 |
Research Abstract |
X線CCDカメラの高速低雑音信号処理を目的としたアナログ・デジタル混在ASIC(特定用途向け集積回路)を試作した。将来の人工衛星搭載を念頭に置き、低高度周回軌道における放射線耐性向上を月指して、エピタキシャルウェハを用いて製作した。単体電気試験の結果、入力等価雑音は約30μVであった。これは既存の天文衛星搭載X線CCDカメラと同等の雑音性能である。さらにピクセルレート500kHzでの動作に成功した。これは既存カメラの数倍ないし10倍の速度である。その他、ゲイン・入力信号レンジ・積分非線形を含め、ASIC単体性能としては目標を達成した。 次に陽子及び重粒子線を用いた放射線耐性試験を行った。経年的損傷・確率的損傷のいずれに対しても、低高度周回軌道での数年間の運用に向けて十分な耐性を実証した。具体的には、前者については軌道上で400年分以上の陽子を照射しても性能を維持出来た。後者については、致命的損傷であるラッチアップが一度も起こらなかった。これにより軌道上運用に問題ないことが実証できたため、現在CCDカメラのエレクトロニクスに組み込み性能試験を行っている。 一方上記試験を行った際のASICパッケージは、フライトモデルとしては問題があることが分かった。具体的にはパッケージの蓋をシールする部分において、リードの金メッキが腐食する可能性があった。そこでこの問題を解消した新たなセラミックパッケージを試作した。単体電気試験の結果は良好であり、来年度以降の衛星搭載に向けた各種試験はこのセラミックパッケージ品を用いる予定である。
|