2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子相関を舞台とする非従来型超伝導発現機構の核磁気共鳴法による研究
Project/Area Number |
22740232
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川崎 慎司 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (80397645)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 高温超伝導 / 擬ギャップ / 低温 / 高圧 / 強磁場 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
1.銅酸化物高温超伝導体の擬ギャップ基底状態の強磁場NMRによる研究 1986年に発見された銅酸化物高温超伝導体の超伝導発現機構は未だ不明である。また、高温超伝導特有の擬ギャップと呼ばれる異常金属相の存在について、その起源や超伝導との関連が実験的に不明である。本研究ではビスマス系高温超伝導体Bi_2Sr_<2-x>La_xCuO_<6+δ>について、強磁場NMR測定から超伝導背景の擬ギャップの電子状態を明らかにした。本研究成果は、NHK岡山放送局、山陽新聞等、各メディアを通じて報道された。 2.鉄砒素系化合物高温超伝導体の超伝導発現機構のNMR法による研究 鉄砒化物超伝導体は転移温度が55Kの高温超伝導体である。鉄という普通の金属が材料であり、安価な超伝導材料として応用が期待されているが、発現機構は不明である。我々は世界に先駆けてこの超伝導が複数の超伝導ギャップを持ち、かつ超伝導発現に電子相関が深く関与していることを指摘した。 3.量子臨界点由来の新奇超伝導現象に関する低温高圧下NMR/NQRによる研究 絶対零度における二次相転移点は「量子臨界点」と呼ばれるが、その付近では量子揺らぎによって通常考えられない異常な現象が観測される。我々は低温高圧下NMR/NQRという世界的にも稀な測定技術を用いて量子臨界点近傍で全く新しい超伝導状態が実現していることを示唆する結果を得た。本研究成果は、圧力による超伝導状態の人工的制御に成功したといえ、将来超伝導を応用する上での設計指針になるものである。
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Research Products
(6 results)