2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740238
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山瀬 博之 独立行政法人物質・材料研究機構, 環境・エネルギー材料萌芽ラボ, 主任研究員 (10342867)
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Keywords | 物理理論 / 強相関電子系 / 光物性 / フェルミ面 / 自発的対称性の破れ / 量子臨界性 / くりこみ群 / 強磁性 |
Research Abstract |
1,スケーリング理論を用いた、フェルミ面の対称性の破れに伴う揺らぎの解析:臨界点近傍では秩序変数の臨界揺らぎ以外に、非秩序感受率が定義出来て、それも臨界点で発散することが分かった。つまり、臨界点近傍では一般に少なくても2種類の異なる臨界揺らぎが存在することを示した。更に、それらの臨界指数を整理した。2、汎関数くりこみ群を用いた、フェルミ面の対称性の破れに伴う揺らぎの解析:フェルミ面の対称性の破れは離散対称性の破れのため、2次元系においても有限温度で相転移が可能である。しかし、揺らぎによって相転移そのものが絶対零度でも消失する可能性があること、更にこのことが電子の状態密度が高いvan Hove特異点の近傍で生じる、という驚くべき結果を得た。秩序状態が消失した時の基底状態は非フェルミ液体になっている可能性を論じた。3、ラマン散乱の理論:フェルミ面の対称性の破れを記述する応答関数はB_<lg>対称の電子及び格子ラマン散乱で直接観測出来る。フェルミ面の揺らぎの集団励起モードの効果は、常伝導状態ではセントラルピークとして、超伝導状態ではソフトモードとして現れることが分かった。実験的検証が待ち望まれる。4、汎関数くりこみ群を用いた、2次元強磁性揺らぎの解析:二次元ハバード模型を用いた結果、van Hoveフィリング近傍で強磁性揺らぎが強く発達すること、van Hoveフィリングより高濃度電子密度だと非整合強磁性の臨界揺らぎが発達し、一方より低濃度電子密度だと、常伝導相から(整合)強磁性への一次相転移が絶対零度で期待されることが分かった。驚くべきことに、このような結果は、より小さいクーロン力を仮定したストーナー理論という極めて簡単な計算で非常にうまく捉えられることが分かった。
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Research Products
(8 results)