2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740277
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
須藤 誠一 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (10453945)
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Keywords | ガラス転移 / 過冷却液体 / 水溶液 |
Research Abstract |
現在行われている過冷却水の分子シミュレーションは水素結合によって形成される水分子の四面体構造を特徴としており、その構造の大きさや形状等の空間的情報(水の空間構造)の実験的検証は未だ行われていない。一方、誘電測定で得られる情報は分子配列や形成された構造の時間的特徴(水の時間構造)であり、誘電測定だけで水の空間構造を調べることは困難である。そこで誘電測定を用いて過冷却水溶液中に形成された水の時間構造を明らかにするとともに,自己光混合振動計を用いて水の空間構造を明らかにする。両者の結果から、水の時空構造を明らかにし、過冷却水の分子描像を解明することを目的とした。以下に研究成果を、申請時の計画と比較しながら説明する。 1.試料選定冷却に適した水溶液を選定するために、濃度の異なるジオキサン水溶液を作成した。試料は-20℃~25℃までの温度領域で誘電緩和測定を行い、緩和パラメータの連続性から、低温域での実験に適した溶液を選出した。 2.クライオスタット開発試料を急冷する低温クライオスタットの設計、開発を行った。誘電緩和測定と自己光混合振動計測が同時に行えるコールドヘッドステージ・チャンバー構造とした。 3.自己光混合振動計測低温域で実現される溶液の光変調スペクトルの形状を調べるために、モデル物質としてポリビニルアルコール水溶液に散乱粒子を添加し、自己混合振動計を用いた動的光散乱測定を行った。観測されたスペクトルから散乱粒子が溶媒から受ける相互作用を反映したスペクトルを観測した。 4.誘電測定セットアップした誘電測定システムの評価を行うため、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液の広帯域誘電緩和測定を、広い温度域で行った。過冷却高分子水溶液が示す緩和パラメータの特徴を示し、過冷却下での高分子鎖-水分子間の相互作用を明らかにした[J.Phys.Chem.B 115 (1), 2-6 (2011).]。
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Research Products
(3 results)