2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740277
|
Research Institution | 東京都市大学 |
Principal Investigator |
須藤 誠一 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (10453945)
|
Keywords | ガラス転移 / 広帯域誘電緩和測定 / 動的光散乱測定 / 過冷却水 |
Research Abstract |
現在行われている過冷却水の分子シミュレーションは水素結合によって形成される水分子の四面体構造を特徴としており、その構造の大きさや形状等の空間的情報(水の空間構造)の実験的検証は未だ行われていない。そこで水の分子配列や形成された構造の時間的特徴(水の時間構造)と空間的特徴を明らかにするために、誘電緩和測定と動的光散乱測定を行った。 本年度の研究では、昨年度セットアップを行った広帯域誘電分光システムの改良を行った。具体的には、高速電流アンプを用いてミリヘルツからマイクロヘルツ領域の誘電緩和測定装置の構築を行った。またこの測定システムに適合した測定用プローブの開発を行った。このプローブは静電容量が100pFで、高感度の測定が達成できた。 実験では、ジオキサン水溶液の動的光散乱測定、誘電緩和測定を広帯域、広い温度域で行った。静的な誘電率から水素結合数密度の計算を行い、ひとつの水分子が形成する水素結合数を求め、動的光散乱測定から得られた空間構造との比較検討を行った。この結果、水が形成する動的な構造は、氷中の水分子が形成する四面体構造に似た構造を形成しており、溶媒が添加されていくことによる四面体構造の崩壊の過程の分子ダイナミクス(崩壊した局所構造中の水、溶媒分子数の比率等)が明らかにできた。また極めて低い含水率領域での水と溶媒分子が形成した局所構造の分子描象が明らかにできた。更に活性化エネルギーの濃度依存性から、水分子だけで形成された四面体構造、低い含水率領域で形成した水と溶媒分子の構造が保たれる限界濃度を明らかにした。
|
Research Products
(2 results)