2011 Fiscal Year Annual Research Report
落雷特性を規定する雷雲の雲微物理構造とその形成過程に関する観測的研究
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22740312
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
出世 ゆかり 独立行政法人防災科学技術研究所, 観測・予測研究領域・水・土砂防災研究ユニット, 任期付研究員 (80415851)
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Keywords | 雷雲 / 落雷特性 / 雲微物理構造 / 降水粒子 / 偏波レーダー |
Research Abstract |
夏季に発生する落雷の特性とそれを規定する雷雲の雲微物理構造を調べるため、本研究では落雷特性が顕著な対流雲(1.負極性落雷が卓越した事例、2.正極性落雷が卓越した事例、3.落雷数が少なかった事例)を詳細な事例解析の対象として研究を実施している。平成22年度には、台風0918号の中心付近で発達し正極性落雷の発生率が著しく高かった雷雲について、落雷データと偏波ドップラーレーダーデータを用いて、落雷特性と雲内の降水粒子の空間分布および3次元気流構造の解析を行った。当該年度は、この事例の雲内の電荷分布に関して関連研究者と議論をし、論文の投稿準備を進めた。また落雷数が少なかった事例として、2010年7月5日に関東地方に豪雨をもたらしたにもかかわらず、落雷数が著しく少なかった対流雲について、複数の偏波ドップラーレーダーのデータを用いた解析を行った。雲内の偏波パラメータと気流の特徴から、この対流雲では0度高度以下における暖かい雨の過程が卓越しており、雨滴の併合成長が活発であった一方で、対流雲の上空では、雲内の電荷分離に貢献するあられの発生が顕著ではなかったということが分かった。この結果は国内学会で発表した。さらに負極性落雷が卓越した雷雲事例については、これまでに取得した偏波ドップラーレーダーデータを整理し、解析対象とする事例の選択を行った。落雷データも含めた詳細な解析と雲微物理構造の解明は、来年度も継続して実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初平成23年度に計画していた、落雷特性が顕著な対流雲事例の選択と雲微物理構造の解析については、平成22年度より取り組み、予定通り解析を進めている。また落雷特性を規定する雲微物理要因の特定についても事例数を増やしつつ調査を進めている。平成23年度途中で育児休業のため研究を中断したが、平成24年度に再開し、本研究の研究計画を研究期間内に遂行できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の途中で研究を中断したため、計画していた研究内容の一部を平成24年度に実施する。具体的には、負極性落雷が顕著だった対流雲について、偏波ドップラーレーダーと落雷データを用いて雲微物理構造とその形成過程を明らかにする。またこれまでに解析した事例も含め、複数の雷雲について落雷特性と雲微物理構造を比較し、落雷特性を規定する雲微物理要因について調査する。
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Research Products
(2 results)